Scholarisine Aの合成研究

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タイトル別名
  • Synthesis of the Carbon Framework of Scholarisine A by Intramolecular Oxidative Coupling

抄録

<p>Scholarisine A (1)1) はAlstonia Scholarisの葉から単離・構造決定されたモノテルペンインドールアルカロイドであり、6つの不斉中心と、複雑に連結した6つの環を含む、他のモノテルペンインドールアルカロイドには見られない非常に特異なかご型骨格をもっている。生理活性は報告されていないが、いくつかの類縁化合物で興味深い活性が知られている。既にSmithら2)、Snyderら3) の二つのグループにより全合成が報告されており、我々もScholarisine Aの特異な骨格に興味を持ち、合成研究に着手することにした。</p><p>合成計画</p><p>Scholarisine A (1)の合成にあたり、環状イミンは最終段階で容易に形成できると考えた。すると、2のようなインドールに付随した10-oxa-tricyclo[5.3.1.03,8]undecan- 9-one骨格をいかに構築するかが鍵となる(Scheme 1)。我々はC7-C16結合を酸化的カップリング反応によって形成することで2のような骨格が構築できるのではないかと考えた。最近、Maらはヨウ素を酸化剤としたインドール3位とカルボニルα位間の分子内酸化的カップリングを鍵段階とした全合成研究を精力的に報告している4)。しかしながら、その適応例は柔軟な骨格のみであり、かつカルボニルのα水素を電子求引基により活性化する必要があった。Scholarisine Aの合成を目指すにあたり、3のような活性化されていないラクトンを用いた分子内酸化的カップリングがScholarisine Aの剛直な骨格に適用可能かを検証する必要があった。そこで、2のアミノ基とアルデヒドを除去したモデル化合物4を用いて分子内酸化的カップリングを検討することにした。</p><p> </p><p>逆合成解析</p><p>Scholarisine Aモデル化合物4の逆合成解析をScheme 2に示す。4は、分子内酸化的カップリングにより、前駆体5はヒドロキシカルボン酸6のラクトン化により得られる考えた。ヒドロキシカルボン酸6の8員環はジエン7の閉環メタセシス反応により構築、ジエン7は臭化物8とアルデヒド9からのC5-C18結合形成により合成できると考えた。</p><p> </p><p>臭化物8の合成</p><p>臭化物8の合成をScheme 3に示す。2-ブテン-1,4-ジオール10を出発原料にして片側の水酸基のみをPMB基で保護した後5)、Johnson-Claisen転位反応によりメチルエステル12とした6) 。LiAlH4によりメチルエステルをアルコールへと還元した後、生じた水酸基をTBS基により保護、PMB基を脱保護してアルコール14とした。最後に14をEt3N存在下、PPh3とCBr4で処理して臭化物8とした。</p><p> </p><p>8員環化物22の合成</p><p> 次に8員環化物22の合成を行った (Scheme 4)。文献に従って3-インドール酢酸より合成したアルコール147) の水酸基をPiv基で保護した後、Vilsmeier-Haack反応によりホルミル化してアルデヒド17を得た。続いてWittig反応によりアルケン18へと導いた後、Piv基の還元的除去とIBX酸化8) によりアルデヒド9とした。臭化物8をtert-BuLiで処理して生じたアニオンをアルデヒド9とカップリングしてアルコール20を1:1のジアステレオ―マー混合物として得た。アルコール20の水酸基をアセチル化した後、第2世代Grubbs触媒9) を用いた</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845712975836032
  • NII論文ID
    130007399469
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.56.0_poster14
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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