IP<sub>3</sub>シグナル解析法の進歩と細胞内シグナル研究への応用

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タイトル別名
  • Advances in methods for analyzing IP<sub>3</sub> signaling and understanding of coupled Ca<sup>2+</sup> and IP<sub>3</sub> oscillations
  • IP₃シグナル解析法の進歩と細胞内シグナル研究への応用
  • IP ₃ シグナル カイセキホウ ノ シンポ ト サイボウ ナイ シグナル ケンキュウ エ ノ オウヨウ

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抄録

<p>イノシトール1.4.5-三リン酸(IP3)は,Gタンパク質共役型受容体(GPCR)やチロシンリン酸化酵素内蔵型受容体の刺激を介するホスホリパーゼC(PLC)の活性化によって産生され,細胞内ストアからCa2+を放出させる重要な細胞内メッセンジャーである.特にGPCRは様々な生理活性物質を介する情報伝達に関与する重要な創薬ターゲットである.その主要なグループの1つであるGq/11タンパク質を介する細胞応答の指標としてIP3の測定が必要である.近年,分離・定量法やIP3結合タンパク質を使ったバインディングアッセイに変わる方法として,Alphaテクノロジー,蛍光偏光法,競合的リガンド結合アッセイ(CFLA)が開発され,創薬研究などに利用されている.またイメージング解析では,Ca2+ウェーブやオシレーションなどの複雑なパターンを持ったCa2+シグナルが様々な細胞で発生することが明らかにされ,その発生機構の解明手段として蛍光IP3センサーを使った研究が進められてきた.これまでにPLCのPHドメインとGFPの融合タンパク質やIP3受容体のリガンド結合部位にCFPとYFPを結合させたFRET型の蛍光センサーが開発されている.特に,FRET型センサーは定量性が高く,キャリブレーションによって個々の細胞内IP3濃度([IP3i)を求めることが可能である.Ca2+とIP3の同時測定では,様々な細胞でCa2+オシレーションと同調した[IP3i振動が観察されている.数理モデルを使った研究によって,IP3生成系に対するCa2+のフィードバック促進によってIP3振動が発生し,これがCa2+オシレーションの頻度と振幅の調節に関与することが予測され,実験的にも確認されている.現在使われているFRET型IP3センサーは,蛍光変化率が小さく局所的なIP3シグナルを高速で測定することが難しい.今後のCFLAを含む新しい技術を使った改良によって,より精度の高いIP3イメージングやin vivoイメージング解析が可能になることが期待される.</p>

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