滲出性網膜剥離を伴ったidiopathic sclerosing orbital inflammationの1症例

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  • A Case of Idiopathic Sclerosing Orbital Inflammation with Exudative Retinal Detachment

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抄録

Idiopathic sclerosing orbital inflammation(ISOI)は,特発性眼窩炎症とは異なるまれな眼窩内炎症性疾患である.免疫反応に基づく細胞浸潤と線維化による腫瘤形成を特徴とする.今回,右眼の充血,眼痛,複視を主訴としたISOIの女性例を報告する.右眼の眼瞼は腫脹し眼瞼下垂を認め,眼球突出と眼球運動制限が認められた.さらに強膜炎,虹彩炎,滲出性網膜剥離が認められた.ステロイド点眼の効果はみられなかった.MRIで眼窩腫瘤を認め,同部位にpositron emission tomography(PET)で異常集積を認めた.眼窩腫瘤生検の結果,組織へのリンパ球浸潤と線維化が認められた.悪性リンパ腫,IgG4関連眼疾患,他の全身疾患は除外され,ISOIと診断した.プレドニン® 80 mg/dayから全身投与を開始し,1年をかけてゆっくりと漸減した.ステロイド治療により症状は改善し,腫瘤の縮小がみられた.しかしステロイド治療中止の2か月後に再発をきたした.再度ステロイド全身投与を行ったが,再発後は治療に抵抗した.したがってISOIは難治性で免疫抑制や放射線治療の追加が必要となる症例が存在することを認識する必要があると考えられた.

収録刊行物

  • 神経眼科

    神経眼科 35 (2), 187-191, 2018-06-25

    日本神経眼科学会

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