当院におけるASC-H例についての検討

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  • Clinical relevance of cytological diagnosis of ASC-H
  • トウ イン ニ オケル ASC-Hレイ ニ ツイテ ノ ケントウ

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抄録

<p>子宮頸部細胞診におけるASC-Hの判定は,HSILとの鑑別が困難な場合が少なくない.ASC-Hの組織診は非腫瘍性変化から高度扁平上皮内病変以上を含むため,非腫瘍性変化の診断後の対応に注意が必要である.今回われわれは,当院で2012年7月から2016年3月の期間に直接塗抹法で作成された子宮頸部細胞診6644検体を対象とし,ASC-Hの頻度,判定に注意を要した細胞所見,生検組織診におけるASC-USとの比較,閉経の有無の影響および非腫瘍性変化診断後の経過について後方視的に検討した.ASC-USは204検体,ASC-Hは82検体認められ,ASCにおけるASC-Hの占める割合は28.7%であった.ASC-Hの細胞所見で濃染核を有する不規則重積細胞集塊を認め,これら集塊に核の大小不同,核形不整を伴う場合,HSILとの鑑別が困難であった.ASC-H全例(31例)に生検組織診が実施され,HSIL(CIN2/3)が15例(48.4%),非腫瘍性変化が6例(19.4%)を占め,HSIL(CIN2/3)の割合はASC-US例よりも有意に高かった(p<0.01).ASC-H例を閉経前後で比較すると両群でHSIL(CIN2/3)の割合が最も高かったが(45.8%,57.1%),HSIL(CIN2/3)および非腫瘍性変化の割合に有意差を認めなかった.ASC-H例の11例(35.5%)にハイリスクHPV検査あるいはHPVタイピング検査が実施され,8例(72.7%)が陽性だった.ASC-H例で非腫瘍性変化の診断28カ月後,1例(16.7%)がHSIL(CIN2)となり,引き続き実施したハイリスクHPV検査は陽性であった.ASC-H例ではHSIL(CIN2/3)に罹患している可能性が高い.非腫瘍性変化診断後も継続的な監視が必要である.〔産婦の進歩70(2):69-74,2018(平成30年5月)〕</p>

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