内視鏡下鼻内副鼻腔手術

  • 吉川 衛
    東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • 第118回日本耳鼻咽喉科学会総会モーニングセミナー 内視鏡下鼻内副鼻腔手術 : 安全で確実な手術を行うために必要なこと
  • ダイ118カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ モーニングセミナー ナイシキョウ カ ビ ナイ フクビコウ シュジュツ : アンゼン デ カクジツ ナ シュジュツ オ オコナウ タメニ ヒツヨウ ナ コト
  • ―安全で確実な手術を行うために必要なこと―

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抄録

<p> 慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻内副鼻腔手術 (endoscopic sinus surgery: ESS) は, 中鼻道自然口ルート経由で各副鼻腔を可及的に開大し, 洞内の換気と排泄機能を促して病的粘膜の正常化をはかる術式である. 特に, 前・後篩骨蜂巣の隔壁を完全に除去し篩骨洞を単一の空洞にする単洞化が重要である. また, ESS では病的粘膜の上皮と粘膜下組織は鉗除するが, 粘骨膜は残して骨を露出しない. 粘骨膜をすべて除去してしまうと術後長期にわたり線毛が再生せず, 痂疲の付着や感染に伴う不良肉芽により良好な治癒を導けない. 副鼻腔粘膜を可及的に温存することで, 残存した粘膜下組織や粘骨膜の上に健全な粘膜上皮が再生され, 副鼻腔を生理的な空洞性治癒に導くことができる. この粘膜温存が, 副鼻腔炎に対する ESS において最も大切なコンセプトである.</p><p></p><p> ところが, このような的確な手術を行う上で, 副鼻腔が頭蓋や眼窩と隣接しており, 解剖学的なバリエーションも多いことが大きな問題となる. 必要な準備を怠ると, 血管損傷だけでなく視器損傷や髄液漏などの重篤な術中副損傷を引き起こしてしまう. そのため, 安全で確実な手術を行うためには, 1) 術前 CT 画像により解剖学的な特徴を確認する, 2) 手術操作の方向の意識を持つ, 3) 良好な術野の確保を心掛ける, 4) 鉗子の適切な選択と操作を心掛ける, 5) 解剖学的な安全領域と危険領域を認識する, 6) ナビゲーションシステムの利用も考慮するなどの点に留意する必要がある.</p>

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