銅の時間毒性 -単回および反復曝露における検討-

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タイトル別名
  • Chronotoxicity of copper-induced acute and chronic toxicity in mice

抄録

<p>【目的】我々は生体リズムを考慮した毒性学を「時間毒性学」として展開しており、様々な金属の感受性時刻差に着目して研究を行ってきた。その結果、金属の種類によって毒性の時刻感受性が異なることを明らかとした (Yoshioka et al, 2018, J Toxicol Sci)。本研究では、感受性時刻差が顕著に認められた銅に対して、マウス系統差の比較および反復投与を行った際の毒性感受性の違いについて検討した。</p><p>【方法】実験には、本学飼育環境下 (照明ON: 8-20時) で馴化させた7週齢のC57BL/6J系雄性マウスを用いた。(1) 銅 (CuCl2: 9.03 mg/kg) を10時から4時間ずつ時刻をずらして単回腹腔内投与し、投与14日後までの生存数および平均生存日数を算出した。(2) 銅 (6.08 mg/kg) を10時と22時に対して、週に2回反復腹腔内投与を行い、8週間経時的に観察を行った。また、5週目において、解剖を行い、臓器重量を計測、血液マーカーの測定および時計遺伝子の発現変動を定量PCRにより解析した。</p><p>【結果および考察】(1) 単回投与の急性毒性試験では、18時、22時で感受性が高く、6時、10時、14時で感受性が低かった。この結果は過去検討したICRマウスと同様の結果であり、銅においてマウス系統差による差はないものと考えられた。(2) 反復投与の毒性試験において、22時に投与した群ではほとんどのマウスが死亡した (1/10) が、10時に投与した群は7割のマウスが生存した (7/10)。このことから、単回投与と反復投与の結果は相関することが示唆された。また、5週目において、臓器重量に大きな変化は認められなかったが、軽度な肝障害が22時投与群で確認された。さらに、一部の時計遺伝子の有意な減少も認められた。鉄鋼業界では、シフトワーカーが多く、また、シフトワーカーは体内時計が攪乱されている報告も多い。今回の知見から、銅 (金属) の曝露によっても時計遺伝子が攪乱されることが明らかとなり、時刻感受性を考慮した勤務形態の構築に加え、時計遺伝子攪乱に対する防御対策強化を一考する必要がある。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845712981963776
  • NII論文ID
    130007432207
  • DOI
    10.14869/toxpt.45.1.0_p-26
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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