歯髄幹細胞を用いた歯髄再生治療研究の安全性・有効性評価
書誌事項
- タイトル別名
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- Safety and Efficacy Test of Pulp Regenerative Therapy Harnessing Mobilized Dental Pulp Stem Cells (MDPSCs)
抄録
<p>歯の健康は全身の健康に密接に関わっており、歯の延命化により高齢者のQOL向上に貢献できると考えられる。超高齢社会においては、深い虫歯による歯髄炎やさらに感染が歯根から歯槽骨まで及んだ根尖性歯周炎においても、歯髄を再生させることにより疾患進行を逆方向に戻し、歯喪失および骨吸収をできるだけ遅らせることが望まれる。したがって私どもは、「歯髄幹細胞移植による歯髄・象牙質再生治療法」の開発を行ってきた。まず、臨床グレードのヒト歯髄幹細胞を製造加工し、感染否定試験、品質試験、がん化試験および染色体・核型異常検査により、幹細胞の特性・安全性を確認した。次に、非臨床研究において、イヌ抜髄後の根管内に自家歯髄幹細胞をG-CSFおよびアテロコラーゲンとともに移植し、尿検査、血液学的検査、血液生化学的検査、剖検、病理学的検査により安全性に問題がないことを確認した。また、有効性を組織学的および分子生物学的に明らかにした。この歯髄再生のメカニズムは、G-CSFにより移植細胞が根管内に生着し分泌するtrophic因子とG-CSFの相加効果により、歯周囲組織から宿主の幹細胞の遊走・増殖が促進され、アポトーシスが抑制され、血管新生・神経伸長が促進されると考えられる。さらに、安全性確認を主要目的とする臨床研究を5症例行い、移植に関連した有害事象は全く認められなかった。また、4症例において、移植後4週以内に電気診による歯髄生活反応が陽性となり、MRIでの正常歯髄に近い信号強度、CBCTによる象牙質添加像により、有効性が示唆された。一方、同種移植に関しては、イヌにおいて、MHCが不一致の歯髄幹細胞を同種移植した場合でも免疫拒絶反応は生じず、しかも2回連続で同種移植しても自家移植と同様に歯髄が再生できることを明らかにした。今後実用化のためには、大量かつ安定的な細胞培養法と品質保証法を確立する必要がある。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 45.1 (0), S14-3-, 2018
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282763031554176
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- NII論文ID
- 130007432482
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可