糖尿病発症トランスジェニック雄ブタの精液性状解析:事例報告

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  • Analysis of semen property in the diabetes model transgenic pig:a case report

抄録

<p>【目的】男性糖尿病患者における性機能障害,精子形成能障害が知られている。本研究では,変異型ヒト肝細胞核因子1α(HNF1α)遺伝子の導入により糖尿病(DM)を発症するブタ(Umeyama et al. 2017)の精液性状と受精能力を解析することを目的とした。【方法】離乳後から毎日,基礎インスリン製剤(レベミル)の投与によって血糖値を制御したDM雄ブタ2頭(以下 No.76,No.84)の増体,空腹時血糖値,精液性状の推移を調べた。精子運動性は精子運動解析装置(SMAS-Pig ver., DITECT)を用いて評価した。14–15ヶ月齢時に採取した精液を,発情を同期化したマイクロミニブタ(フジマイクラ)の子宮深部に外科的に注入し,受精能を調べた。【結果】1–15ヶ月齢の空腹時血糖値の期間平均値は,それぞれ270 mg/dl(31–568)及び340 mg/dl(29–537)であった。両者の体重増加は6ヶ月齢まで同等であったが,6ヶ月齢以降はNo.76に増体率の低下がみられた(0.308 vs. 0.314 kg/day)。精液採取期間中(11–15 ヶ月齢),No.76の血糖値は大幅に変動し(51–259 mg/dl),それに伴い精子運動性にも著しい変動(運動精子率,16.8–78.3%)がみられた。一方,常時高血糖(229–328 mg/dl)を示したNo.84の精子運動率は良好に保たれた(74.7–88.9%)。14–15ヶ月齢に採取したNo.84の射出精子をマイクロミニブタ雌4頭に人工授精した結果,4頭全てが受胎した。【考察】変異HNF1α導入DMブタは,糖尿病が生殖能(特に,精液性状)に及ぼす影響の研究モデルとして有用であることが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288071100160
  • NII論文ID
    130007487374
  • DOI
    10.14882/jrds.111.0_or1-16
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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