ブタ初期胞状卵胞由来発育途上卵母細胞の体外発育培養における壁性顆粒膜細胞の役割

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Roles of mural granulosa cells in <i>in vitro</i> culture of porcine growing oocytes derived from early antral follicles

抄録

<p>【目的】体内での卵母細胞の発育において,壁性顆粒膜細胞は分泌因子を介したシグナル伝達により卵母細胞の発育を促進することが知られている。しかしながら,初期胞状卵胞由来発育途上卵母細胞の体外発育において,壁性顆粒膜細胞が卵母細胞の発育にどのように影響するかは不明である。本研究では,発育途上卵母細胞の体外発育環境の改善を目的として,壁性顆粒膜細胞が卵母細胞の生存,発育,成熟能に及ぼす影響を調べた。【方法】春機発動前ブタの直径0.3–0.9 mmの卵胞より,壁性顆粒膜細胞-発育途上卵母細胞複合体(MGOCs),及びMGOCsから壁性顆粒膜細胞を除去した卵丘細胞-発育途上卵母細胞複合体(COCs)を得た。得られた450個のMGOCs及び454個のCOCsを14日間培養し,卵母細胞の生存,発育,成熟能を観察した。【結果】14日間培養後の生存率はMGOCs群(54.4%)がCOCs群(37.2%)より高かった。卵母細胞の退行率に差はなかった(MGOCs:44%,COCs:41.9%)。COCs群では培養8日目以降に卵丘細胞の退行による自発的な裸化が観察されたが,MGOCs群では裸化は抑制された(COCs: 20.9%,MGOCs:1.6%)。卵母細胞の発育において,COCs群では培養8日目まで,MGOCs群は培養10日目まで卵母細胞直径の増加が観察され,培養後の卵母細胞直径はMGOCs群(117.9 μm)が COCs群(112.4 μm)より大きかった。さらに,MII期への成熟率においてもMGOCs群(78.9%)がCOCs群(47.7%)より高かった。また,培養期間を通してGV期での減数分裂の停止が維持されているかを観察したところ,COCs群において20%の卵母細胞で自発的な減数分裂の再開が観察された。一方で,MGOCs群では全ての卵母細胞がGV期で停止していた。これらのことから,卵母細胞の体外発育において,壁性顆粒膜細胞は,卵母細胞の発育,減数分裂停止の維持,成熟能の獲得に重要であることが示された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238025955456
  • NII論文ID
    130007490293
  • DOI
    10.14882/jrds.111.0_or1-4
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ