卵丘細胞除去時のヒアルロニダーゼがウシ卵子の初期発生能に及ぼす影響

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of hyaluronidase in cumulus cell removal from bovine oocytes on their early developmental ability.

抄録

<p>【目的】ICSIでは,精子注入のために卵子の可視化が必要不可欠である。そのため,操作に先立って卵丘細胞の除去を行う。この際,卵丘細胞を効率的かつ完全に除去することを目的に,精巣由来酵素であるヒアルロニダーゼを用いることが多い。しかしながら,ヒアルロニダーゼは卵子の変性や単為発生を誘発する可能性がある。そこで本研究では,卵丘細胞除去時のヒアルロニダーゼがIVFおよびICSI後のウシ胚の初期発生に及ぼす影響について検討した。【材料と方法】ウシと体由来卵巣より卵丘卵子複合体(COC)を採取し,ホルモン添加したmedium199で21時間成熟培養した。成熟培養後,卵丘細胞の除去を行った。卵丘細胞の除去は,コニカルチューブ内のヒアルロニダーゼ1 mg/ml(添加区)または無添加(無添加区)のmedium199中にCOCを浸漬し,ボルテックスによる振とう処理により行った。その後,凍結融解精子を用いてIVFおよびICSIに供試し,発生培養7日目に卵割率および胚盤胞発生率を評価した。[実験1]ヒアルロニダーゼがIVF後の卵割率および胚盤胞発生率に及ぼす影響を検討した。[実験2]ヒアルロニダーゼがICSI後の卵割率および胚盤胞発生率に及ぼす影響を検討した。【結果と考察】実験1および実験2のいずれにおいても,ヒアルロニダーゼ無添加区で添加区と比べて胚盤胞発生率が高かった(P<0.05)。卵割率には差がみられなかった。以上より,卵丘細胞除去時のヒアルロニダーゼは,ウシ卵子の初期発生能を低下させることが示唆された。その機序として,単為発生や細胞膜および透明帯損傷の可能性が考えられる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288071575552
  • NII論文ID
    130007490329
  • DOI
    10.14882/jrds.111.0_p-33
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ