無保護糖類を基質としたジアステレオ選択的触媒的プロパギル化反応を鍵としたシアル酸類縁体の合成

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タイトル別名
  • Rapid Synthesis of Sialic Acid Derivatives via Ligand-Controlled, Stereodivergent Propargylation of Unprotected Aldoses

抄録

<p>[初めに]</p><p>シアル酸は細胞膜表面のオリゴ糖の末端に存在し、細胞認識、癌細胞の転移、ウィルス感染など生理機能や病理状態に深く関わっており生物または医学研究に広く利用されている。自然界にはN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)やKDNを代表とし、これらが様々な修飾を受けた形で50種類以上のシアル酸類縁体が存在している。これまでに様々な誘導体が合成されているが、シアル酸の有する立体情報が、その機能に与える影響に関しては詳細な研究が進んでいない。これは、多様な立体を有するシアル酸誘導体の網羅的合成法が存在しないことにその一因があると考えられる。</p><p>[シアル酸類の合成]</p><p>現在、シアル酸合成に主に利用されている方法は酵素を用いた合成法である。この方法は、大スケールにも対応可能な効率的方法であるが、基質適応範囲は限定的であり、多様な誘導体の合成という観点からは利用が難しい。化学合成法においては、無保護糖類を原料として保護基を用いずに合成を行う、短工程な方法がいくつか報告されている。しかしながら、これらの反応では鍵となる炭素‐炭素結合形成反応の立体選択性が、基質特有の立体によって制御されてしまうため、多様な立体を有するシアル酸の合成には対応できない。</p><p>[ジアステレオ選択的触媒的プロパギル化反応の開発]</p><p>この問題点に着目し、我々は多様な立体構造を持つ天然または非天然シアル酸類縁体の網羅的合成を目的とし、ジアステレオ選択性を自在に制御できる触媒反応の開発に取り組んだ。ソフトメタル共役塩基触媒の活用によって、ハードな官能基であるヒドロキシ基存在下においても炭素‐炭素結合形成反応を進行させることができると考え(Scheme 1)、無保護の糖を基質としたプロパギル化反応の検討を行った。</p><p> 種々検討を行ったが、ソフトな性質を有する1価銅触媒とアレニルボロネートとのトランスメタル化により生成するアレニル銅求核剤を用いてもプロトン化が優先して進行してしまい、炭素‐炭素結合形成反応はほとんど進行しなかった。これは、反応活性種であるアルデヒド型の糖が平衡でわずかしか存在していないために、求核付加反応が進行しなかったものと考えられた。そこで、アルデヒド型の存在量を増加させるため、糖の開環促進剤を種々検討したところ、B(OMe)3の添加が反応促進に有効であることを見出した。また、リガンドとして不斉Ph-SKP類を利用することで2種類のジアステレオマーを高い選択性で作り分けることに成功した(Scheme 2)。</p><p> 本反応は単糖だけではなく、二糖(b-D-lactose)に対しても適用可能であり、良好な収率、高い立体選択性で反応が進行した(Scheme 3)。</p><p>次に、シアル酸誘導体の合成を検討した。D-Mannoseを原料としてグラムスケールにてプロパルギル化反応を行ったところ、0.1 mol%の配位子と0.15 mol%の銅</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238027625856
  • NII論文ID
    130007491494
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.57.0_posterp8
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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