粘膜優位型尋常性天疱瘡の1例

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タイトル別名
  • A case of mucosal-dominant pemphigus vulgaris

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抄録

<p>【はじめに】尋常性天疱瘡は皮膚・粘膜に病変が認められる自己免疫性水疱性疾患であり,皮膚粘膜に疼痛を伴う難治性のびらん,潰瘍を認めるのが特徴である。初発症状として口腔粘膜症状の頻度が高く,難治性口腔病変として耳鼻咽喉科を受診することがある。今回我々は咽頭痛の増悪によって食事摂取困難を来たした粘膜優位型尋常性天疱瘡の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。</p><p>【症例】54歳,男性。口腔内のただれを主訴に近医歯科を受診して経過観察されていた。発症4ヶ月後,近医耳鼻咽喉科を受診した。出血を伴うびらん,疼痛による食事摂取困難を認め,5日後精査・加療目的に当科紹介となった。皮膚には異常所見は認めず,口腔粘膜だけでなく,喉頭ファイバー検査にて下咽頭・喉頭粘膜にもびらんを認めた。天疱瘡の可能性も考慮し,当院皮膚科に紹介した。下口唇のびらん部・口腔内粘膜の生検を施行し,粘膜上皮細胞間にIgGの沈着と,血清抗デスモグレイン3抗体の高値を認め,粘膜優位型尋常性天疱瘡と診断された。皮膚科に転科し治療を行ったがステロイド内服に治療抵抗性であり,ガンマグロブリン大量静注療法,免疫抑制剤,血漿交換療法の末,寛解に至った。</p>

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