当院の40歳以上の高齢妊娠での周産期合併症についての検討

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タイトル別名
  • A retrospective review of pregnancy complications among patients aged 40 years or older
  • トウ イン ノ 40サイ イジョウ ノ コウレイ ニンシン デ ノ シュウサンキ ガッペイショウ ニ ツイテ ノ ケントウ

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抄録

<p>【目的】近年,生殖補助医療の発展等に伴い高齢妊娠は増加傾向にある.高齢妊娠では切迫早産や胎盤位置異常,妊娠高血圧症候群など周産期合併症の発生頻度が高くなると指摘されており,慎重な管理を要する.今回,40歳以上の高齢妊娠の管理に際して注意すべき周産期合併症と妊娠成立方法,初経産,母体偶発合併症との関連性を検討した.【対象と方法】2006~2014年で妊娠22週以降に分娩した40歳以上の539症例と,2013~2014年で妊娠22週以降に分娩した40歳未満の1117症例それぞれの周産期合併症を後方視的に抽出し,40歳以上の妊婦で有意に高頻度となる合併症を同定し,さらにそれぞれの発生のリスク因子となる母体背景因子を明らかにしようとした.【結果】40歳以上の妊婦では40歳未満より有意に高頻度となる周産期合併症は妊娠34週未満の早産,妊娠34週未満の前期破水,胎児発育不全,妊娠高血圧症候群,胎盤位置異常,産後多量出血であった.それらのなかで,妊娠34週未満の早産や妊娠高血圧症候群では,母体背景因子として糖尿病合併妊娠・妊娠糖尿病が独立したリスク因子であった.また,妊娠34週未満の早産,妊娠34週未満の前期破水,胎児発育不全に関しては,双胎妊娠が独立したリスク因子であった.胎盤位置異常は卵子提供が独立したリスク因子であり,産後多量出血は卵子提供あるいは生殖補助医療による妊娠で有意に多かった.【結論】40歳以上の高齢妊娠では,個々の母体背景に応じて起こり得る合併症を想定しながらハイリスク妊婦として慎重に扱うことで,比較的安全に管理ができるのではないかと考える.妊娠成立方法や糖尿病などの基礎疾患の把握,妊娠糖尿病の管理がとくに重要と考える.また今後妊娠を考える女性に対して,高齢妊娠のリスクや背景因子に関して十分に情報を提供することが肝要である.〔産婦の進歩70(3):257-262,2018(平成30年8月)〕</p>

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