主膵管内への進展を認めた膵腺房細胞癌の1例

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タイトル別名
  • Acinar cell carcinoma with tumor extension to the main pancreatic duct: a case report

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抄録

<p>症例は54歳男性.心窩部痛,背部痛にて近医を受診,造影CTで膵腫瘍を認め当科に紹介となった.造影CTで膵頭体部と尾部に造影効果の乏しい腫瘤影を認め,頭体部と尾部に主膵管拡張を認めたが,腫瘤の境界は不明瞭であった.尾部腫瘤の脾静脈浸潤を認めた.MRCPで主膵管に2か所の途絶と拡張を認めた.PETでは膵頭体部,尾部に集積を認めた.EUSでは主膵管内に結節様病変が疑われた.悪性神経内分泌腫瘍や腺房細胞癌を疑い,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術+D2郭清,脾静脈合併切除を施行した.病理診断は膵腺房細胞癌pT4N0M0 stage IVaであり,主膵管内に腫瘍栓を形成していた.術後補助化学療法としてS-1内服加療を開始したが,術後6か月で多発肝転移を認め,術後9か月で原病死となった.膵腺房細胞癌は切除により予後が期待できるが,放射線治療や化学療法の有用性はまだ確立されていない.今回主膵管内への腫瘍進展を認めた症例を経験したので報告する.</p>

収録刊行物

  • 膵臓

    膵臓 33 (5), 799-805, 2018-10-25

    一般社団法人 日本膵臓学会

参考文献 (6)*注記

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