音声機能の温存が求められた進行頸部食道癌症例に対する治療経験

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タイトル別名
  • Treatment Experience with a Case of Advanced Cervico-thoracic Esophageal Carcinoma Requiring Preserved Vocal Function
  • 症例 音声機能の温存が求められた進行頸部食道癌症例に対する治療経験
  • ショウレイ オンセイ キノウ ノ オンゾン ガ モトメラレタ シンコウ ケイブ ショクドウ ガン ショウレイ ニ タイスル チリョウ ケイケン

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抄録

<p>進行した高位頸部食道癌症例に対して喉頭温存手術を行う場合には,臨床的因子のみならず,患者背景も考慮にいれた総合的な判断が求められる。今回われわれは,複雑な因子を抱えた症例の治療を行い,発声機能を温存できた症例を経験したので報告する。症例は20歳代前半の女性で以下のような問題点を認めていた。①引きこもり状態であるが声楽科を目指しており歌うことだけが人生の希望,②身長162 cm,体重115 kg,BMI 43.8,③輪状軟骨直下から胸部食道にかけて全周性に腫瘍を認め高度の食道狭窄あり。気管膜様部に浸潤が疑われcT4。水分摂取も困難,④右扁桃に同時性中咽頭癌(T1)あり,⑤患者は強く発声機能の温存を希望。化学療法(FP×3)と同時に食道に45 Gy,咽頭に対して70 Gyの照射を行った。この間手術に向けて減量を行い体重は30 kg減少,中咽頭はCR,頸部食道はPRでT3相当に縮小した。多職種のキャンサーボードで術後の精神的サポート体制を確認し手術を行った。幸い術後反回神経麻痺を生じることなく発声機能は温存できた。機能温存と生命予後との両立の困難さを痛感させられた症例であった。</p>

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