著明な拘束性換気障害に至った難治性良性石綿胸水の1例

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タイトル別名
  • A Case of Intractable Benign Asbestos Pleural Effusion Leading to Remarkable Restrictive Ventilatory Impairment

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抄録

<p>背景.良性石綿胸水,びまん性胸膜肥厚,円形無気肺はいずれもアスベスト関連呼吸器疾患の一つである.症例.造船業事務の職歴のある76歳男性.右胸水貯留のため受診され,胸部CTでは右下葉に円形無気肺,右胸水,両側の胸膜肥厚,胸膜プラークを認めた.経気管支肺生検では右円形無気肺は虚脱線維化した肺組織,右胸水穿刺ではリンパ球優位の滲出性胸水,胸腔鏡下胸膜生検で右胸膜は線維性胸膜肥厚だった.以上の所見と,職歴からアスベスト曝露が疑われ,アスベスト曝露による良性石綿胸水に伴うびまん性胸膜肥厚,円形無気肺と診断した.1年後には左胸水,円形無気肺,呼吸困難,湿性咳嗽が出現した.ステロイド治療や頻回の胸水穿刺,胸膜癒着療法を行うも胸水,胸膜肥厚,円形無気肺とも進行し,著明な拘束性換気障害を来して,初診時から約3年の経過で2型呼吸不全により永眠された.剖検では両肺に著明な線維性胸膜肥厚と円形無気肺を確認した.結論.良性石綿胸水に伴うびまん性胸膜肥厚,円形無気肺は本例のような予後不良症例が存在し得るが,根本的な治療が難しく,集学的な全身管理が望まれる.</p>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 58 (7), 1001-1006, 2018-12-20

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

参考文献 (6)*注記

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