心底部に発生した犬の骨外性骨肉腫の1例

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抄録

<p>心底部に骨肉腫が発生したミニチュア・ダックスフンド,13歳,避妊雌について報告する。本例は発咳と活動性の低下を主訴に来院し,X線検査にて心陰影の拡大と胸水および腹水の貯留,心エコー図検査では心膜液の貯留が認められた。この心膜液は漸次増量し,第15病日に心タンポナーデをきたした。心膜穿刺により血様の心膜液が採取され,心臓腫瘍が疑われたことから,その確認と心膜切除を目的に第22病日開胸手術を実施した。右房外側後部に暗赤色で表面滑沢な腫瘤状病変(径1.5 cm)が見いだされたが,後大静脈壁に固着していたため切除は困難であった。なお,細針吸引生検では有意な細胞成分は見いだされなかった。心膜切除術後に活動性や食欲は改善し,それ以降は小康状態を保っていたが,初診より1年1カ月後,腫瘤は顕著に増大し(6×3.5 cm),呼吸状態が著しく悪化したことから安楽死処置が施された。剖検では,心臓腫瘤は心底部を広範に巻き込んでいたが,心臓の形態は概ね良好に保持されており,心腔内への伸展は見られなかった。腫瘤の組織学的検索では,多形性の両染性~弱好酸性胞体を有する骨芽細胞様細胞がシート状に増殖し,破骨細胞様細胞の出現と多量の類骨基質の形成を伴っていたことから,骨肉腫と診断された。</p>

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