腎機能の程度により調節が必要な薬剤の処方せん記載の工夫による有用性の検討

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  • Usefulness of patient/drug information described on prescriptions of drugs to be regulated in accordance with the grade of kidney function
  • ジンキノウ ノ テイド ニ ヨリ チョウセツ ガ ヒツヨウ ナ ヤクザイ ノ ショホウセン キサイ ノ クフウ ニ ヨル ユウヨウセイ ノ ケントウ

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抄録

<p>堺市立総合医療センターでは、処方せんにクレアチニン・クリアランス(以下、Ccr)を記載するとともに、腎機能により調節が必要な薬剤が処方されている場合、薬品名の後に「腎」が明記されるよう処方せん記載の工夫を行っている。また当院はプレアボイド報告を積極的に行っており、報告件数は増加傾向にあり、腎機能に関連する報告も多くあげられている。そこで、処方せん記載の工夫による調剤・鑑査における正確性の向上と処方監査の効率化への影響およびプレアボイド報告のタイミング、提案内容の変化を検討したので報告する。当院薬剤師および大学薬学生を対象とし、模擬処方せんを作成し処方せん鑑査を実施した。全ての模擬処方せんにCcrを記載し、腎機能調節が必要な薬剤について「記載なし」処方せんと「記載あり」処方せんを作成した。評価項目は鑑査の正確性、所要時間の2項目とした。プレアボイド報告については、2015年のプレアボイド報告集団(「記載あり(2015)」)と2014年のプレアボイド報告集団(「記載なし(2014)」)との間で、腎機能調節が必要な薬物に関する報告を比較した。「記載あり」を鑑査した場合では、「記載なし」と比較して鑑査の正確性は統計学的に有意に高い結果となり、鑑査の所要時間についても有意に短縮された。「記載なし(2014)」群と「記載あり(2015)」群の腎機能に関連するプレアボイド件数の比較を行ったところ、「記載あり(2015)」において報告件数は有意に増加した。処方せん記載の工夫が調剤・鑑査の正確性の向上と所要時間の短縮につながり、誰でも、正確かつ迅速に、効率的な鑑査が可能であることが示唆された。プレアボイド報告の比較からは早期タイミングで適正な薬物治療が実践できることが示唆された。以上のことから、腎機能により調節が必要な薬剤について処方せんに明記することは、適正な薬物治療の貢献に有用であると考えられる。</p>

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