沖永良部島隆起サンゴ礁海岸の潮間帯高位プラットフォームの生成時期
書誌事項
- タイトル別名
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- Formative age of "intertidal superior platform" on the seaward foot of coastal karren platform at Okinoerabu-jima Island, Japan.
抄録
はじめに 沖永良部島はサンゴ礁起源の(更新世)琉球層群からなる。沿岸には幅150〜300mほどの礁原が見られ,その後背にはサンゴ礁起源の生砕屑物からなるビーチが分布している。このような海岸の連続性は,礁原を持たず岬状に突出した海岸カレン台地によって分断される。この言わば岬状海岸線付近には略最高高潮位付近またはそれを越える高度に幅数メートルの平坦面が分布している。この成因を明らかにしてこそ,高海水準評価が可能となる筈である。 <br><br>潮間帯高位プラットフォームの提案 現成サンゴ礁をもつ琉球列島の島々の礁原とその後背のビーチとの境界は,琉球列島の隆起傾向を反映し,およそ平均海面水位にある。つまり,礁原とは言ってもそのほとんどは溶食起源であり,潮間帯プラットフォームと言った方が適切ではある。上述の「岬状海岸線付近には略最高高潮位付近またはそれを越える高度に幅数メートルの平坦面」を木庭(1974, 東北地理26(1))は沖永良部島で確認しストームベンチながら現在生成中のものとした。これが潮間帯プラットフォーム同様,低い縁取りをもったタイドプール群に緑藻が生育する表面を持つことから,木庭(1974)は,これが現在の海岸環境で形成されているものと考えた。この測量は一人での測量用ポールとハンドレベルによるものであった。川口昇とともに,沖永良部島南西部の宇和美崎付近で,2018年春の大潮時にレーザー測距儀による詳細な測量を実施した。潮間帯高位プラットフォーム intertidal superior platformは新たな造語である。その分布高度から,ストームベンチ,潮上帯プラットフォームなどと称されてきたものである。この度の研究成果からすると,いずれも不適切な用語となった。ストームベンチは平常の海況の営力では形成されないという意味合いがあり,潮上帯ベンチは潮上帯に位置しているものを意味している。後述のようにこのプラットフォームはいずれにも当たらない。 <br><br>成因とシミュレーション 和泊では,略最高高潮面と略最低低潮面(DL)の高度差は2.16mで平均潮位MSLは,1.08m a.DLとなる。さて,Mar. 31, 2018には,宇和美崎の潮間帯高位プラットフォーム分布域でプラットフォームの沈水時時刻を観測した。ほぼ無風で波高は1フィート以内であった。そして,16:10にはこのプラットフォーム面は水没と干出を繰り返した。この時刻に対応する和泊港の潮位は109 cm a.DLであり,これは平均潮位にあたる。この時刻には近傍の大津勘ビーチでは,潮間帯プラットフォームとその後背のビーチの間の屈曲点境界に海面が達している。潮間帯プラットフォームと潮間帯高位プラットフォームは,その分布高度に違いがあるにも関わらず,いずれも和泊港の平均潮位の時刻に水没したことになる。この宇和美崎では,潮間帯高位プラットフォームは潮間帯プラットフォームから離れるに従って高くなり,最高位は1.5m a.MSLほどになっている。こういったプラットフォーム高度はその場の潮位との間に高い相関が予想されるのである。古池と芹沢によるシミュレーション結果も報告したい。そして,隆起サンゴ礁海岸に広く見られる石灰岩に刻まれたノッチなどから高位海水準を求めるには,潮間帯高位プラットフォームの理解が欠かせず,その視点に立った高位海水準も報告する予定である。
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2019s (0), 180-, 2019
公益社団法人 日本地理学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390845713073600384
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- NII論文ID
- 130007628471
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可