虫垂炎を契機に発見された10歳児後腹膜脂肪腫の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Retroperitoneal Lipoma with Chronic Appendicitis in a Child
  • 症例 虫垂炎を契機に発見された10歳児後腹膜脂肪腫の1例
  • ショウレイ チュウスイエン オ ケイキ ニ ハッケン サレタ 10サイジ アトバラマク シボウ シュ ノ 1レイ

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抄録

急性虫垂炎を契機に発見された小児の後腹膜脂肪腫の1例を経験した.症例は10歳の女児で,下腹部痛を主訴に来院した.腹部CTでは右腎周囲の後腹膜腔に10cm大の脂肪と同じdensityを有する境界明瞭な腫瘤を認め,回盲部は正中へ圧排され虫垂は腫大していた.急性虫垂炎と後腹膜脂肪腫と診断し保存的加療で軽快退院を得たが,6カ月後に虫垂炎再燃を認め再入院した.再度保存的加療を行い,3カ月後に予定手術で虫垂切除と後腹膜脂肪腫摘出術を施行した.腫瘤は後腹膜に存在し回盲部を内側に圧排していた.腫瘤の上部は右腎被膜と軽度癒着しており,発生部は本部位の後腹膜自体と思われた.病理組織診断では腫瘤は成熟脂肪細胞からなる脂肪腫で,虫垂は慢性炎症を呈していた.小児の後腹膜脂肪腫は非常に稀な疾患であり,慢性虫垂炎を伴った例はこれまでに報告がない.腫瘤による虫垂圧排が炎症の一因となった可能性が示唆された.

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