訪問介護における介護報酬設定についての研究―基本報酬の妥当性に焦点を当てて―

  • 坪井 良史
    松山東雲女子大学人文科学部心理子ども学科 京都府立大学大学院公共政策学研究科(博士後期課程)

書誌事項

タイトル別名
  • Setting the Long-Term Care Fee Schedule for Home Help Services: Focusing on Validity of the Basic Part of Care Fees
  • ホウモンカイゴ ニ オケル カイゴホウシュウ セッテイ ニ ツイテ ノ ケンキュウ : キホン ホウシュウ ノ ダトウセイ ニ ショウテン オ アテテ

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抄録

<p>本研究の目的は,訪問介護における介護報酬が公定価格として妥当性をもつのかについて考察することである.介護報酬は,基本部分と加算部分で構成されるが,本研究では,サービス提供において不可欠となる人件費や諸経費が含まれる基本部分に着目する.施設や通所系サービスの介護報酬設定(基本部分)をみると要介護度別の設定となっているのに対し,訪問介護の介護報酬は(要介護度別ではなく)1回当たりの設定になっている.この考え方によれば,要介護度が高くなればそれに比例してより多くのサービス提供時間が提供され,それが要介護度に応じた報酬となるということである.これをふまえ,本研究では訪問介護において介護の必要の程度がサービスの「時間」にあらわれているかについて考察を行った.この結果,「身体介護」については介護の必要の程度がサービスの「時間」にあらわれている一方,「生活援助」についてはそのようになっていないことが明らかとなった.ここからは,現在の1回あたりを基準に設定されている訪問介護の介護報酬は,必ずしも利用者の要介護状態に応じた評価となっていないということができる.</p>

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 59 (3), 44-54, 2018-11-30

    一般社団法人 日本社会福祉学会

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