腎臓病へのDOHaD の影響

書誌事項

タイトル別名
  • Developmental origins of renal disease

この論文をさがす

抄録

<p>生活習慣病,慢性腎臓病(CKD)をはじめとする種々の疾患の発症が,胎生期,周産期,乳幼児期の環境に影響されることが明らかになっている(Developmental Origins of Health and Disease,DOHaD 学説)。低出生体重(子宮内発育遅延,早産による)がマーカーとされているが,高出生体重もリスクである。DOHaD によるCKD 発症機序としてネフロン数減少が知られているが,尿細管,間質,内皮,ポドサイト,血管密度の変化,さらにレニン・アンジオテンシン系,交感神経系,酸化ストレス,炎症,ミトコンドリア異常,エピジェネティクス機構の関与が考えられる。低出生体重は各種腎疾患の重症度を悪化させるとともに罹患率にも影響する。一例として超低出生体重児における糸球体過剰濾過,肥大を介する二次性巣状糸球体硬化症がある。低出生体重者のCKD 発症にはキャッチアップ,肥満,食塩過剰摂取などが関与し,高血圧,糖代謝異常などの生活習慣病との悪循環が形成されている。CKD,低出生体重児が増加している現在,胎生期から腎疾患の予防を考えることが望まれる。それには腎臓医のみでなく多職種連携,一般市民,特に妊娠可能年齢の女性への啓発が重要である。</p>

収録刊行物

参考文献 (9)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ