乳腺原発腺様嚢胞癌の1例

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タイトル別名
  • A case report of primary adenoid cystic carcinoma of the breast

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抄録

<p>乳腺癌の稀な特殊型である腺様嚢胞癌は,トリプルネガティブ(ER陰性,PgR陰性,HER2陰性)であるにも関わらず,予後良好である。その画像診断は容易ではないが,特徴的な細胞像を呈するため,穿刺吸引細胞診が診断に有用である。今回,術前の穿刺吸引細胞診で診断可能であった乳腺原発腺様嚢胞癌を経験したので報告する。症例は,81才女性。検診で左乳房腫瘤を指摘され,浸潤性乳管癌疑いで当院紹介となった。画像検査(CT,乳腺エコー,MRI)で,左乳房C領域に境界明瞭な径12 mm大の腫瘤影を認めた。穿刺吸引細胞診が行われ,その細胞像は,粘液状物質を取り囲む様に大小の細胞集塊が多数採取され,重積性が目立つ集塊や篩状構造も認められ,腺様嚢胞癌が示唆された。乳腺針生検では,硝子化を伴う間質結合織を背景に小型で異型に乏しい腫瘍細胞の小増殖巣や胞巣状増殖巣を認めた。小腺腔や篩状構造がみられ,腺腔内に粘液様物質を含んでおり,腺様嚢胞癌と診断した。免疫組織学的染色では,管腔内腔側の腫瘍細胞がCEA,CK7,ç-kit陽性,管腔外側がp63,α-SMA陽性と二相性が窺えた。また,腫瘍細胞は,ER境界域,PgR陰性,HER2陰性であった。センチネルリンパ節生検併用で左乳房部分切除術を行い,最終病期はpT1pN0M0,Stage Iであり,現在再発なく経過良好である。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 68 (2), 376-382, 2019-04-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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