スギの遺伝的分化と環境への適応

DOI
  • 内山 憲太郎
    (国研)森林機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域
  • 中尾 勝洋
    (国研)森林機構 森林総合研究所関西支所
  • 津村 義彦
    筑波大学生命環境系
  • 木村 恵
    (国研)森林機構 森林総合研究所林木育種センター
  • 上野 真義
    (国研)森林機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域

書誌事項

タイトル別名
  • Genetic differentiation and evolutionary adaptation in <i>Cryptomeria japonica</i>

抄録

<p> 日本のスギの歴史は中新世後期の温帯性森林の出現に始まる。化石や植物遺体の出土から、現在のスギが顕著となるのは約100万年前からであり、その後何度かの氷河期をスギは生き延びてきた。この長い歴史の中で、スギは様々な環境を経験し、分布の拡大と縮小を繰り返してきたと考えられる。現在のスギ天然林には大きく4つの遺伝グループ(北東北日本海側、日本海側、太平洋側、屋久島)があることがわかっている。DNAマーカーを用いた推定によると、それらの遺伝グループは過去数万〜数十万年前の分岐によって形作られたと考えられている。これらの遺伝グループの成立に、氷期の分布縮小による集団の隔離が大きな影響を与えていることは疑いない。 一方で、これらのグループは気候的にも大きく異なる地域に分布しており、それぞれの環境から異なる自然選択圧を受けてきたことが予想される。実際にスギ天然林を用いた適応的な遺伝子の探索の結果、それらのグループ間で遺伝的に大きく分化している遺伝子が多数見つかってきている。本発表では、スギの遺伝的分化を支えるそれらの適応的な遺伝子について、ゲノムワイドな解析を通して明らかとなってきた結果を紹介する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713065835136
  • NII論文ID
    130007645778
  • DOI
    10.11519/jfsc.130.0_731
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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