P-1-E25 オマリズマブが奏功した重症持続型気管支喘息の超重症者の1例

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  • 木藤 嘉彦
    独立行政法人 国立病院機構 兵庫あおの病院 小児科
  • 玉村 宣尚
    独立行政法人 国立病院機構 兵庫あおの病院 小児外科

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抄録

気管支喘息は重症心身障害者にもみられる疾病で、時にコントロールに難渋する場合がある。今回、重積発作を反復し経口ステロイド長期連用を要した重症持続型気管支喘息の超重症者に抗IgE抗体オマリズマブを使用し奏功したので報告する。 症例 44歳男性。脳性麻痺。乳児期から喘鳴あり。3歳時に当院入所。長期臥床、気管切開、人工呼吸器常時装着。胃瘻造設状態。気管支喘息重積発作(大発作)反復し、経口ステロイド中止すると急性増悪起こしていた。経口ステロイド長期連用にても喘鳴出現し、酸素吸入中止できず継続。家族歴:同胞に気管支喘息。身体所見は、声をかけると目を動かして反応する。呼吸音は呼気性喘鳴、時に陥没呼吸。腹部膨満。皮膚は顔面、体幹に湿疹。側彎、関節拘縮。オマリズマブ投与前治療は、プランルカスト、ブデソニド吸入1.0mg/日、ツロブテロールテープ、プレドニン(3年前から連日内服)。血液検査にて、好酸球増多、非特異的IgE896 IU/ml、カンジダ特異的IgE7.85 UA/ml。ACTH2.9pg/ml、コルチゾール3.9μg/dl。気管内採痰培養にてCandida持続的に検出。カンジダアレルギーによる重症持続型気管支喘息および続発性副腎皮質機能低下症と診断し、オマリズマブ開始した(300mgを2週間ごと皮下注)。2週間後、喘鳴出現著明に減少。腹部膨満改善。1カ月後、カンジダ消失。7カ月後、酸素中止。8カ月後、呼吸抵抗(呼気R5)改善みられた。感染に伴う増悪はあったが重症化はみられていない。 考察 本例はカンジダアレルギーで悪循環を断つためにはステロイド減量中止が望まれた。超重症児は喘息症状の増悪がとらえにくく、重積発作は生命の危機に至る可能性があり、コントロールは重要である。経口ステロイドは、感染、骨粗鬆症、副腎皮質機能低下症のリスクを高めるため、抗IgE抗体オマリズマブによる治療を考慮してよいと考えられた。

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