上部気道および気管疾患の診断と治療

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  • 末松 正弘
    AMC 末松どうぶつ病院 鹿児島大学 共同獣医学研究科 外科学分野

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タイトル別名
  • Diagnosis and treatment of upper airway and tracheal diseases

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抄録

<p>呼吸器疾患は上部気道、気管・気管支、末梢気道・肺実質の3 つの区分に分けることができる。このうち、上部気道および気管・気管支における呼吸器疾患は時に重症化し、時に動物の生命に関わる状況で遭遇することがある。病変部位により異なる特徴的な異常呼吸音が聴取され、鼻腔、咽頭領域ではスターター、喉頭・気管領域ではストライダーが聴取されるため責任病変の部位特定が可能になることも多い。外鼻孔では外傷、狭窄、感染あるいは炎症、鼻腔内病変では半数に腫瘍性が確認されており、その他、炎症、感染、寄生虫、異物など原因は多岐にわたる。咽頭では咽頭虚脱、狭窄、腫瘍(ポリープを含む)、炎症などが認められる。喉頭では神経性、腫瘍性、炎症など様々な疾患が認められるが、喉頭麻痺で来院する動物は比較的多い。気管・気管支では虚脱、腫瘍、外傷、狭窄、炎症、感染および異物が認められる。これら上部気道および気管・気管支では、気道閉塞が重度であれば生命に関わることも多く、早期の診断治療が必要となる。診断は異常呼吸音の聴取、触診、オーナーへの問診、画像診断により仮診断を行い、その後、麻酔下にて目視や内視鏡検査、必要であれば細胞診を実施し確定診断をする。治療方法は疾患により異なるが上部気道および気管・気管支の閉塞解除が目的となる。今回は上部気道、気管それぞれの診断と治療について執筆させていただく。</p>

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