メチル水銀の細胞傷害特異性に対する含イオウ求核低分子の影響

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タイトル別名
  • Effect of sulfur nucleophiles on the specific cytotoxicity of methylmercury

抄録

<p>【背景】メチル水銀 (MeHg) 曝露による中枢神経系への細胞傷害は部位、細胞種および発達段階で異なるが、その理由を説明できる知見は少ない。そこでMeHg毒性防御に寄与しうる含イオウ求核低分子群の中枢神経系における存在量を時空間的に解析し、その差異がMeHgによる傷害に特異性をもたらす因子であるかを明らかとする。</p><p>【方法】ラット脳試料を限外ろ過し、低分子画分中の含イオウ求核低分子をチオールアルキル化試薬により標識し、安定同位体標識した既知濃度の標準物質と共に液体クロマトグラフィータンデム質量分析計多重反応モニタリングに供して定量を行った。</p><p>【結果および考察】活性イオウ分子であるCysSSHおよびH2S量の脳発達段階依存的な増加が見られた。低用量MeHgの胎生期曝露(母体への5 ppm MeHgの飲水曝露)を行ったラット脳において同様の解析を行ったところ、CysSSHおよびH2S量の特異的な減少が見られた。本曝露条件は細胞死を引き起こさない低用量であることを鑑みると、これらの分子種が高い反応性をもってMeHgを捕獲・不活化すること、またMeHg曝露により惹起される酸化ストレスを防ぎ、細胞のレドックスバランスの維持に寄与していることが示唆される。これらの分子種は胎生期から出生後までの発達段階に応じ脳内量が増加したことから、MeHgへの抵抗性獲得に寄与していることが示唆される。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713083276928
  • NII論文ID
    130007677364
  • DOI
    10.14869/toxpt.46.1.0_p-193
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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