インドネシアからの移住者に発症した結核性縦隔リンパ節炎の2症例

書誌事項

タイトル別名
  • Two medical professionals from Indonesia who developed tuberculosis of the mediastinum

抄録

<p>【症例1】32歳男性.インドネシア出身の元看護師.3年前に来日して介護職に従事.1か月前から続く乾性咳嗽,発熱,盗汗,食思不振,体重減少を主訴に来院した.胸部CT上,縦隔リンパ節腫大を認めた.CRP 3.2 mg/dL,ESR 30 mm/hr,抗HIV抗体陰性.喀痰検査では有意な病原体を認めず.悪性リンパ腫を疑い施行した超音波気管支鏡ガイド下針穿刺検査でM. tuberculosisを検出した.薬剤感受性菌であり,4剤併用療法(RFP/INH/PZA/ EB)で現在加療継続中である.【症例2】32歳男性.インドネシア出身の元眼科医師.研究目的で1年前に来日. 7か月前から経時的に増大する前頸部腫瘤を主訴に来院した.胸部CT上,頸部腫瘤,縦隔リンパ節腫大,腹腔動脈周囲リンパ節腫大を認めた.CRP 0.7 mg/dL, ESR 18 mm/hr, 抗HIV抗体陰性.前医で頸部腫瘤からドレナージされており,その穿刺部の排膿液の培養でM. tuberculosisを検出した.薬剤感受性菌であり,4剤併用療法で加療し治癒した.【考察】通常,結核性縦隔リンパ節炎は一次結核やHIV感染患者で出現することが多く,成人結核患者では我国では稀である.近年,外国出身者の結核患者は増加傾向にある.今回,インドネシア出身の医療従事者に発生した結核性縦隔リンパ節炎の2症例を経験した.結核性縦隔リンパ節炎は診断が困難であり,注意が必要と考えられる.</p>

収録刊行物

  • Tenri Medical Bulletin

    Tenri Medical Bulletin 22 (1), 46-47, 2019-12-25

    公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所

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