心臓刺傷後遠隔期に広範脳梗塞を合併した左室瘤に対する左室形成術の1例

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  • Surgery for Left Ventricular Aneurysm and Thrombus Causing Embolic Stroke 26 Years after Penetrating Cardiac Injury : A Case Report

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抄録

<p>症例は41歳男性.15歳時に自殺企図による心臓刺傷に対して外科的に救命された既往があるが,その後特に経過観察はされていなかった.突然の右半身麻痺を主訴に脳神経外科を受診,左中大脳動脈塞栓による脳梗塞と診断され血栓吸引療法が施行された.その後スクリーニングで施行したCTで左室瘤および左室内血栓を認め,さらなる塞栓症予防のため手術目的に当院搬送となった.左室内血栓は14 mm×23 mmと巨大で可動性があり,緊急手術が望ましいと考えられたが,脳梗塞が広範囲であり発症後急性期であることから,人工心肺を用いた開心術は脳出血の危険性が高いと判断し,4週間の慎重な経過観察の後に手術を行った.術中所見では,左室瘤内壁に器質化血栓と新鮮血栓が混在して付着しており,血栓を摘除し瘢痕化した左室壁を一部切除してオーバーラッピング型左室形成術を行った.術後経過は良好で神経学的所見の増悪を認めず,術後11日目にリハビリ目的に前医転院となった.心臓外傷は救命困難な病態であるが,救命症例でも遠隔期に左室瘤を形成し血栓塞栓症の原因となりうるため適切な経過観察が肝要である.</p>

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参考文献 (12)*注記

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