酸素吸入方法の違いが運動中の酸素飽和度に与える影響

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  • -同調式,連続&同調式どちらがよいか-

抄録

<p>【背景・目的】</p><p>患者の吸気に合わせて酸素を供給することができる同調供給は,安静時および運動中にほとんどの慢性呼吸不全患者に対して適切に酸素を供給することができる.しかし,一部の患者は連続式と同等の設定でも運動中に低酸素血症を呈することが多くみられる.そこで,同調式の供給に加え微量の連続投与を同時に行うことで,同調式と比較して運動中の低酸素血症を是正できるか検討した.</p><p> </p><p>【対象と方法】</p><p>対象は当院入院中及び当法人デイサービス利用中の安定期慢性呼吸不全患者25名(平均年齢76.3±7.4歳,男性18名,女性7名,COPD13名,間質性肺炎3名,その他9名)である.同調式と連続&同調式の携帯用酸素ボンベを使用して6分間歩行試験;6MWTを2週間内に4回,二重盲検クロスオーバー無作為化比較試験を行った.6MWTは学習効果を考慮し,第1週目に各設定で練習を,第2週目に同様のテストを行い,第2週目の値を採用した.酸素カートの運搬は被験者が行った.歩行試験中の酸素流量は,主治医が指示した流量に従った.連続&同調式では,連続式から1.0L/minを供給し,同調式からは残りの流量を供給した.アウトカムは6分間歩行距離,試験前後のSpO2,Pulse rate;PR,Borg Scale;BS(呼吸困難感,下肢疲労感),血圧の変化量を比較した.統計解析はSPSS.version18を使用し,有意水準を5%未満とした.</p><p> </p><p>【結果】</p><p>同調式と比較し連続&同調式の携帯用酸素ボンベでSpO2の変化量のみ有意差を認めた(P<0.005).</p><p> </p><p>【結論】</p><p>同調式を使用中の低酸素血症が出現する慢性呼吸不全患者に対して,連続&同調式の携帯用酸素ボンベは低酸素血症を是正し,特に拘束性障害の患者において連続&同調式が有用であると示唆された.低酸素血症を是正することに加え,連続式と比べて酸素消費量を抑えられるため,患者の活動範囲拡大およびQOLの向上が期待される.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>ヘルシンキ宣言に基づき,すべての対象者には本研究の趣旨と目的,個人情報保護について文書で説明し,書面にて同意を得た.</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-56_1-A-56_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713088615552
  • NII論文ID
    130007692417
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-56_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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