高濃度酸素投与下で運動療法を実施し、運動耐容能が改善した気腫合併特発性肺線維症の一症例

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抄録

<p>【背景・目的】</p><p>combined pulmonary fibrosis and emphysema(CPFE)は、間質性肺炎に肺気腫を合併した状態で、運動時の低酸素がより大きいことが特徴である。CPFE患者に対して、高濃度の酸素投与下での運動療法が有効であった1症例を報告する。</p><p> </p><p>【方法または症例】</p><p>症例はCPFEと診断された80歳男性、mMRC scaleはGrade2であった。呼吸機能はFVC 3.42L (112.1%)、FEV1 2.51L (105.5%)、FEV1% 73.4%、%DLco 52.3%であった。今回、肺炎にて入院、抗菌薬治療にて治癒した後に理学療法開始となった。4Lカヌラにて漸増運動負荷試験を実施し、測定されたPeak Wattの80%負荷にてリザーバーマスク15Lにて定常負荷試験を行いEndurance time (ET)を測定した。また、介入前後で6分間歩行試験、下肢筋力測定、歩数計にて身体活動量の測定を行った。運動療法は80%負荷での定常運動をリザーバーマスク15Lの酸素投与下で週5日、約6週間実施した。</p><p> </p><p>【結果】</p><p>4Lカヌラでの定常負荷試験時の最低SpO2は78%、リザーバーマスク15Lでの定常負荷試験時の最低SpO2は95%であった。介入前ETは5分53秒、介入後のETは上限となる30分完遂となった。6分間歩行距離は334mから381mへと臨床的に有意な改善を示した。下肢筋力には改善はなかった。身体活動量では院内における1日あたりの平均歩数が20.7歩から2510.9歩へと著明な増加を示した。</p><p> </p><p>【考察および結論】</p><p>運動時低酸素血症を呈するCPFE患者に対して、高濃度酸素投与下での運動療法はSpO2低下を軽減し安全に施行できた。さらに運動耐容能と身体活動量を改善させることが可能であった。CPFEに対する運動療法では高濃度酸素投与が有用であることが示唆された。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究はヘルシンキ宣言に則り、症例に対して治療内容や症例報告に関して十分な説明を行い、書面にて同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-59_2-A-59_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713088249856
  • NII論文ID
    130007692508
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-59_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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