S市におけるリハビリテーション専門職派遣事業の実践報告

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  • -実践から得られたリハビリテーション専門職活用の課題と今後の展望-

抄録

<p>【はじめに、目的】S市では、介護予防の推進役として市内53か所の介護予防センターを設置しており、専任の保健福祉専門職を配置して、介護予防の普及啓発、高齢者の活動の場づくり等に取り組んでいる。平成29年度から、市内3区の17か所で、介護予防センターが運動機能向上プログラムを中心とした介護予防教室の実施や、高齢者サロン等において介護予防に効果的なプログラムの支援を行う介護予防センターモデル事業を開始した。この実施には、リハビリテーション専門職(リハ職)が技術支援をし、住民主体の活動の継続を目指していることが特徴である。具体的には、リハ職はモデル事業である「リハビリテーション専門職派遣事業」(リハ派遣事業)において、介護予防教室等に派遣され、住民に対する直接指導や介護予防センター職員に対して体力測定や住民の身体機能評価等の技術支援を行った。現在、地域包括ケアシステム構築を推進する中で、効果的・効率的な介護予防の取組でリハ職の活用が求められているが、具体的な活用方法は十分に示されていない。実際の事業における支援のあり方を検討することで、リハ職が地域において求められている役割を明確にする一助となることが期待される。そこで本報告の目的は、S市のリハ派遣事業初年度の実践を振り返り、本事業におけるリハ職の技術支援の実施状況について調査し、課題と今後の展望を検討することとした。</p><p>【方法】モデル事業対象3区のうち、H区(8か所)のリハ派遣事業を対象として、関連する研修資料、支援時のメール、会議録や報告書等をもとに、リハ職による技術支援の内容や回数等の実施状況について調査した。調査内容を踏まえて、リハ職による技術支援の課題抽出や今後の展望を考察した。</p><p>【結果】8か月間に61回の介護予防教室への技術支援と、延べ71人のリハ職派遣がなされた。技術支援内容は、直接的支援として、「体力測定」「介護予防講話」「運動指導」等の支援が行われた。間接的支援として、「電話・メールでの相談」「研修開催」「リハ職と介護予防センター職員の会議開催」等があった。研修と会議は各2回の開催だった。リハ職による技術支援により、介護予防センター職員による適切な体力測定や効果的な運動指導がなされるようになった。また、リハ職が必要と考える支援内容と介護予防センターから依頼があった支援内容の一部に乖離がみられた。</p><p>【結論】リハ職の技術支援は、介護予防センター職員の体力測定や運動指導の技術向上に効果的だった。しかし、事業開始当初、リハ職と介護予防センター職員の間で技術支援に対する認識共有が十分になされていなかった可能性がある。そのため、リハ職が必要と考える支援・求められている支援の乖離が生じたと考えられた。今後は、早期に研修や会議を開催し、認識を共有する機会を持つことが、効果的にリハ職を活用することにつながると考えた。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行った。また、本発表については事業主体である市介護保険課の了承を得ている。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), C-50_2-C-50_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238111189760
  • NII論文ID
    130007692807
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.c-50_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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