腰部脊柱管狭窄症に対する理学療法士が行う監視下での運動療法の有効性

DOI
  • 峯玉 賢和
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 中川 雅文
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 山本 義男
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 松尾 咲愛
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 小池 有美
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 森 信彦
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 左近 奈菜
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 中谷 友洋
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 中川 幸洋
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 寺口 真年
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 籠谷 良平
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 米良 好正
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 隅谷 政
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター
  • 川上 守
    和歌山県立医科大学附属病院紀北分院脊椎ケアセンター

書誌事項

タイトル別名
  • ―ランダム化比較試験―

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>腰部脊柱管狭窄症(以下LSS)患者に対する運動療法の有効性は報告されているが、適切なコントロール群が少なく、理学療法士の介入効果は明らかとなっていない。また、ホームエクササイズの評価が不十分で歩数計を用いた身体活動量の評価は行われていない。当研究の目的は、理学療法とホームエクササイズを比較することにより理学療法士の役割を明確にすることにある。</p><p>【方法】</p><p>2014年9月から2018年5月までの期間、神経性間欠跛行を有するLSS患者を対象に理学療法群(P群)とホームエクササイズ群(H群)の2群に分けランダム化比較試験を行った。P群は、週2回6週間の徒手療法、個人に合わせた監視下での体幹・下肢の筋力増強、体重免荷トレッドミル歩行20分、自転車エルゴメーター20分とホームエクササイズとして腰痛体操と歩行を行った。H群は、腰痛体操と歩行をホームエクササイズとして6週間行い、週1回通院してもらい、運動の順守を確認した。主要アウトカムは、チューリッヒ跛行質問票(ZCQ)重症度とし、副次アウトカムにZCQ身体機能、歩行距離(Self-paced walking test)、腰痛・下肢痛・下肢しびれのNumerical Rating Scale (NRS)、日整会腰痛質問票(JOABPEQ)、SF-36、不安・抑うつ尺度(HADS)、痛みに対する破局的思考尺度(PCS)、Tampa Scale for Kinesiophobia (TSK)を用いた。ホームエクササイズの順守は、アンケートと歩数計(HJA-350IT OMRON社)にて確認した。治療前と6週後の変化量をχ2検定とStudent t検定、Mann-Whitney U検定を用い、有意水準を5%とし、両群で比較検討した。</p><p>【結果】</p><p>P群41例(平均年齢72.1歳、男20人)とH群41例(73.0歳、男19人)が研究に参加した。治療前の年齢、性別、罹病期間、MRI所見および主要、副次アウトカムにおいて2群間に有意差はなかった(p≧0.05)。6週後の変化量では、ZCQ重症度(mean difference -0.4点; 95% confidence interval: -0.6 to -0.2)、ZCQ身体機能( -0.4点: -0.6 to -0.2)、歩行距離( 473m: 318 to 628)、JOABPEQ歩行機能障害 ( 16.4点: 5.7 to 27.1)、SF-36身体機能 ( 9.4点: 2.2 to 16.6)、SF-36体の痛み (10.6点: 3.5 to 17.8)、歩数( 741歩/日: 199 to 1284) でP群が有意に大きい改善が得られた(p < 0.05)。</p><p>【結論】</p><p>理学療法群は、痛み、歩行能力、身体機能、身体活動量においてホームエクササイズ群よりも有意な改善が得られていた。主要アウトカムのZCQ重症度においては、理学療法群はホームエクササイズ群よりも0.4点有意に改善しており、Minimal Clinically Important Differenceの0.36点以上の改善が得られていたため、臨床的に意義のある差をもって理学療法群がホームエクササイズ群よりも効果があったといえる。したがって、理学療法士による監視下での患者に適した個別の運動療法は、ホームエクササイズよりもLSS患者に有用である。理学療法士の運動療法への積極的な介入がLSSの保存療法の成績を向上させる可能性がある。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は、和歌山県立医科大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。また、すべての被験者に本研究の趣旨および内容について口頭および文章で説明し、自由意志による参加の同意を文章により得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-204_1-H2-204_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288158224640
  • NII論文ID
    130007693745
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-204_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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