足部横アーチの変化が前方着地時の下腿筋活動に及ぼす影響

DOI

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>足部は複数の関節で可動し、それをコントロールする器官は靭帯や筋となる。さらに3つのアーチは荷重位において形状を変化させながら衝撃緩衝を行う。本研究は横アーチの変化に着目し、横アーチの変化率が下腿の筋活動に影響を及ぼすとの仮説をたて検証した。</p><p>【方法】</p><p>足部に既往のない男女23名(男性16名、女性7名、年齢20.7±1.3歳)46脚を対象とした。横アーチ計測は、静止立位で第1中足骨頭から第5中足骨頭間をデジタルノギスで計測した。その後検査肢を前方に出し、足関節最大背屈を行い同様の方法で横アーチを計測した。その数値を足長で除した値を百分率し、横アーチ長率と定義した。最大背屈位から立位の差を出し、その平均値を基準に横アーチ長率が短い群と長い群に分類した。片脚着地動作は裸足にて30cm台に両脚で立ち、その後片脚立位をとらせ上方に飛び出すことのないように台より30cm前方に着地するように指示し、着地後バランスを崩さず5秒間片脚を安定させた。表面筋電図の記録はKISSEI COMTEC社製 Vital RecorderⅡにて、前脛骨筋・長腓骨筋・ヒラメ筋を計測した。双極誘導で導出しサンプリング周波数は1000Hz にて収集し、Bimtus videoを用いて解析を行った。着地動作の同定は母趾球と踵部にフットスイッチを貼付し、筋電図と同期させて行った。また各筋の等尺性最大筋力を計測し%MVCを導出した。なお筋電図解析は、両脚立位・片脚立位・片脚着地の3秒間を対象とし、3回動作を行いその平均値を使用した。</p><p>統計処理は2群間の各筋における関係と、各肢位に対する横アーチ長率との差を明らかにするため、二元配置分散分析及びBonferroni法にて差の検定を行った。有意水準は5%未満とした。</p><p>【結果】</p><p>横アーチの短い群は25脚、長い群は21脚となった。この2群間の両脚立位に対する片脚立位、両脚立位に対する片脚着地、片脚立位に対する片脚着地の筋活動の関係は、前脛骨筋とヒラメ筋は全てにおいて有意に大きくなった(p<0.05)(p<0.01)。長腓骨筋は、短い群の片脚立位に対する片脚着地以外は有意に大きい値を示した(p<0.01)。両脚立位・片脚立位・片脚着地における2群間の差は、長腓骨筋の片脚着地のみ有意に大きい値となった(p<0.01)。</p><p>【結論(考察も含む)】</p><p> 横アーチは静的・動的支持機構により形態は保たれており、長腓骨筋は横アーチの動的支持機構となる。長腓骨筋の短い群より長い群が有意に働いた理由は、横アーチの形態的変化によりこの支持機構が過剰に働いた結果と考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は本校倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:1805)。なお倫理的配慮として、すべての被験者に対して研究の主旨および研究協力への自由意志と拒否権を説明し、同意が得られた場合にのみ実施した</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-189_2-H2-189_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238111648768
  • NII論文ID
    130007693794
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-189_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ