静的ストレッチング後の有酸素運動が筋力と柔軟性に及ぼす影響

DOI

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>静的ストレッチング後には,筋腱複合体スティフネス低下と筋活動低下により筋力低下が生じる.有酸素運動は,筋活動を増加させることで筋力を向上させる.よって,静的ストレッチング後に有酸素運動を行うことで,静的ストレッチングにより生じる筋力低下を改善することができる可能性が考えられる.以上より,本研究の目的は,静的ストレッチング後の有酸素運動が下腿三頭筋の筋力と柔軟性に及ぼす影響を検討することである.</p><p>【方法】</p><p>健常成人男性15名を対象とし,対象筋は右下腿三頭筋とした.全ての対象者に2種類の介入を無作為な順番で実施した(有酸素条件,コントロール条件).有酸素条件は5分間の静的ストレッチング後に有酸素運動を10分間実施した.コントロール条件では静的ストレッチング後に10分間の安静期間を設けた.静的ストレッチングは等速性筋力測定計を用いて行い,痛みのない範囲で最大の角度にて他動的に実施した.また,前後で柔軟性と筋力を評価するために,ROM,筋腱複合体スティフネス,最大等尺性筋力,筋活動を測定した.統計分析は二元配置分散分析を用いて行った.また,事後分析にはBonferroni法を用いた.全ての分析において有意水準は5%未満とした.</p><p>【結果】</p><p>ROMと筋腱複合体スティフネスに関しては有意な交互作用がみられなかったが,最大等尺性筋力と筋活動においては有意な交互作用が認められた(p < 0.05). ROMは両条件共に静的ストレッチング後に増加し(p < 0.05),介入後は変化しなかった.筋腱複合体スティフネスは両条件共に静的ストレッチング後に減少し(p < 0.05),介入後は変化しなかった.最大等尺性筋力および筋活動は,両条件共に静的ストレッチング後に低下したが(p < 0.05),有酸素条件のみ介入後に増加した(p < 0.05).</p><p>【結論(考察も含む)】</p><p>静的ストレッチングにより筋腱複合体スティフネス低下と筋活動低下が生じ,その結果,最大等尺性筋力が低下したと考えられる.また,静的ストレッチング後の有酸素運動は筋活動を増加させることで筋力を増加することが明らかとなった.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は所属機関における倫理委員会の承認を受けた上で行った.また,全ての対象者に対して事前に口頭及び書面にて説明をし,研究の参加に関して同意を得た上で実施した.</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-239_1-H2-239_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報

  • CRID
    1390845713088367616
  • NII論文ID
    130007693869
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-239_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ