反張膝を呈する両側内側型変形性膝関節症の歩行分析
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- 本木 涼介
- 京都府立医科大学附属病院 リハビテーション部
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- 久保 秀一
- 京都府立医科大学附属病院 リハビテーション部
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- 瀬尾 和弥
- 京都府立医科大学附属病院 リハビテーション部
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- 高橋 孝多
- 京都府立医科大学附属病院 リハビテーション部
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- 伊藤 慎英
- 京都府立医科大学 リハビリテーション先進医療開発講座 京都府立医科大学大学院 リハビリテーション医学
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- 大橋 鈴世
- 京都府立医科大学大学院 リハビリテーション医学
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- 新井 祐志
- 京都府立医科大学大学院 スポーツ・障がい者スポーツ医学
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- 三上 靖夫
- 京都府立医科大学附属病院 リハビテーション部 京都府立医科大学大学院 リハビリテーション医学
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- 久保 俊一
- 京都府立医科大学附属病院 リハビテーション部 京都府立医科大学 リハビリテーション先進医療開発講座 京都府立医科大学大学院 リハビリテーション医学 京都府立医科大学大学院 スポーツ・障がい者スポーツ医学 京都府立医科大学大学院 運動器機能再生外科学(整形外科)
書誌事項
- タイトル別名
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- -TKA前後の荷重応答期に着目して-
抄録
<p>【はじめに、目的】</p><p> 内側型変形性膝関節症(膝OA)患者では、膝関節内反変形とともに膝関節の伸展制限を呈することが多いが、中には反張膝を生じる患者も存在する。伸展制限症例の歩行については、正常歩行に比して膝関節の屈伸運動と立脚期伸展モーメントが小さいが、人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)によりこれらは大きくなり荷重応答能力が改善される、と報告されている。しかし反張膝症例のTKA後の歩行解析に関する報告はこれまでのところ渉猟できない。</p><p> 本研究は、反張膝を呈する両側内側型膝OA患者のTKA後の歩行が、伸展制限症例と同等に改善するか否かを検討することを目的とした。</p><p>【方法】</p><p> 対象は両側内側型膝OAで術前の立脚期に反張膝を認めた女性2例とした。歩行評価は、術前と術後約4週に行い、三次元動作解析装置VICON MX(VICON社製)と床反力計(Kistler社製)を用いた。体表に赤外線反射マーカーをPlug-In-Gait modelに則して貼付し、サンプリング周波数120Hzで平地自由歩行を記録した。歩行速度、関節角度、関節モーメントはPlug-In-Gait modelを用いて算出した。術後リハビリテーションはプロトコールに準じた練習(関節可動域・筋力増強・歩行)を約4週間行った。TKA前後で、歩行速度、術側の関節角度と関節モーメントを比較検討した。</p><p>【結果】</p><p> 2例の歩行速度は術前2.8㎞/h、2.5㎞/hが、それぞれ術後2.5㎞/h、3.7km/hに変化した。2例とも術前の立脚期に膝関節は過伸展し、膝関節屈曲モーメントを示した。術後は荷重応答期に約5度の膝関節屈曲運動を認めた。荷重応答期の膝関節モーメントは、屈曲モーメントから伸展モーメントへと変位し、増減を繰り返しながら大きくなった。</p><p>【考察】</p><p> 反張膝を呈する膝OA患者の歩行では、術前に荷重応答期で膝関節の過伸展と屈曲モーメントがみられたが、TKA後は伸展制限症例と同じように、屈曲運動と伸展モーメントに変化した。一般的に、膝関節モーメントは初期接地時には屈曲から伸展へと1峰性に変位するが、術後4週の反張膝症例では屈曲から伸展へ増減を繰り返す多峰性の変位を認め、円滑な荷重応答能力を獲得できていないと考えられた。荷重応答期に膝関節屈曲運動がみられても、適切な筋出力が発揮されていないと推察でき、立脚期の機能改善に向けた理学療法が課題と考えた。</p><p>【結論】</p><p> 反張膝を呈した両側内側型膝OA患者は、TKA後4週までに、膝関節伸展制限を呈する症例の報告と同様に立脚期における膝関節の屈曲運動と伸展モーメントを認めたが、円滑な荷重応答能力を獲得できていなかった。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>対象者には、本研究の主旨と対象者の権利を説明し、書面にて同意を得た。</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), I-64_1-I-64_1, 2019
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238112064768
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- NII論文ID
- 130007694253
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可