行政の管理職保健師による職務遂行上に認知したコンフリクトへの対処

書誌事項

タイトル別名
  • The process of coping with conflicts as recognized by managers of Public Health Nurses (PHN's) on the job performance
  • ギョウセイ ノ カンリショク ホケンシ ニ ヨル ショクム スイコウ ジョウ ニ ニンチ シタ コンフリクト エ ノ タイショ

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抄録

<p>目的:行政の管理職の職位にある保健師(以下:管理職保健師)が,管理職としての職務遂行上に認知したコンフリクトの対象者,出来事,およびコンフリクトへの対処について明らかにすることを目的とした.</p><p>方法:機縁法により選定された 8 名の管理職保健師を対象に,2017年12月~2018年 3 月の間に,インタビューガイドを用いたヒアリング調査を実施した.得られたインタビューデータは質的帰納的に分析した.</p><p>結果:調査協力者の管理職保健師の保健師経験年数は平均31.5年,管理職経験年数は平均10.5年,所属は「都道府県」 3 名,「政令市・中核市」 3 名,「市町村」 2 名,職位は「部長」 2 名,「課長」 4 名,「係長」 2 名であった.保健師 1 人につき 2 ~ 3 の合計18のコンフリクトに関するエピソードが語られた.コンフリクトを認知した対象者の職種は「保健師」が 8 名と最も多く,次いで「事務職」 7 名,「その他」 3 名,職位は「上司(上位)」 8 名,「部下(下位)」 4 名,「同等」 3 名,「その他」 3 名であった.コンフリクトを認知した出来事は,「既存の事業や活動体制の見直し」,「新規事業」,「支援方法」などであった.コンフリクトへの対処に着目してカテゴリ分析を行った結果,コンフリクトへの対処には「見解の相違内容のアセスメント・対処への準備」として17サブカテゴリ, 8 カテゴリ,「見解の相違の解消のための介入」として21サブカテゴリ,10カテゴリ,「進捗管理・評価」として 3 サブカテゴリ, 2 カテゴリの対処が抽出された.保健師は見解の相違の認知後に【見解の相違内容の明確化】や,【懸念される事態への事前対応】などの見解の相違解消のための入念な準備に取り組んでいた.コンフリクトの解消へ向けた対象者への介入では,対象者との【信頼関係の構築】を図り,【好機の見極め】や,【相手の立場を考慮した対応】などに努めていた.また,【進捗管理の体制確立】を図り,【評価・フィードバック】を行うことで,コンフリクトの対処のモニタリングや当初の方針や方向性の軌道修正を図っていた.</p><p>結論:管理職保健師は職務遂行上,組織内外の多様な対象者との間に,コンフリクトを認知していた.コンフリクトへの対処には,対象者や事態への直接的な介入に加えて,認知したコンフリクトの要因の解明や事前の対策を丁寧に図ることや,進捗状況の把握,評価,フィードバックなどの有効性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 保健医療科学

    保健医療科学 68 (3), 259-269, 2019-08-01

    国立保健医療科学院

被引用文献 (1)*注記

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