低栄養による性腺刺激ホルモン分泌の抑制を担う神経伝達経路とグルコースセンサーの同定

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of the neuronal pathway and the glucose sensor regulating the suppression of gonadotropin secretion by malnutrition

抄録

<p>【目的】後脳には,低栄養を感知して性腺刺激ホルモン分泌を抑制する機構の存在が示唆されている。本研究では,生殖中枢とされる弓状核キスペプチンニューロンと後脳間の神経伝達経路を解明するため,以下を目的とした実験を行った。実験1:後脳での低栄養の感知に関与する細胞の同定。実験2:後脳上衣細胞と弓状核キスぺプチンニューロン間の神経伝達経路の探索。【方法】実験1:グルコース拮抗剤である2-Deoxy-D-Glucose(2DG)を雄ラットの第4脳室(4V)に30分間または1時間投与した。投与完了後すぐに灌流固定し,30分間投与群はc-fosのmRNAの発現をin situハイブリダイゼーション法により検出し,1時間投与群では免疫組織化学染色により細胞活性化の指標であるc-Fosタンパク質発現細胞を同定した。実験2:弓状核キスペプチンニューロンに神経トレーサーであるコムギ胚芽凝集素(WGA)を発現するマウスを作出し,免疫組織化学染色によりWGAの脳内局在を観察した。【結果・考察】実験1: c-fosのmRNAは4V上衣細胞のみで明瞭に発現していた。c-Fosタンパク質発現細胞数は上衣細胞,カテコールアミンニューロン,副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンニューロン,およびニューロペプチドYニューロンで有意に増加した。このことからグルコース利用性の低下を感知した4V上衣細胞は,これらのニューロンを活性化することが明らかとなった。実験2:WGAは4V上衣細胞,孤束核,C1領域,視床下部室傍核に観察されたことから,4V上衣細胞から弓状核キスペプチンニューロンまでの神経伝達経路の存在が明らかとなった。以上から,低栄養は4V上衣細胞により感知され,後脳および視床下部に局在する神経細胞を介して弓状核キスペプチンニューロンに入力し,性腺刺激ホルモン分泌を抑制することが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564227310889088
  • NII論文ID
    130007719186
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_aw1-8
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ