ニコチン酸アミドが奏効した持久性隆起性紅斑の 1 例

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  • Erythema Elevatum Diutinum Treated With Nicotinamide

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抄録

<p>70歳代,女性。既往歴は高血圧,胆嚢摘出術,両側人工関節置換術,慢性心不全。X - 1 年から右膝外側に紅斑が出現,抗生剤内服加療するも改善せず。徐々に紅斑は拡大し,結節も出現してきたため X 2 月当科初診となる。初診時,右膝外側に周囲へ放射状に拡がる隆起性の紅斑を認め,その中央に弾性硬の大小の結節が敷石状に分布していた。皮膚生検では真皮全層および皮下組織に至るびまん性炎症細胞浸潤を認めた。表皮突起は延長し,表皮の spongiosis がみられ,真皮の炎症細胞浸潤のところどころに線維化も伴っていた。炎症細胞の主体は好中球で核塵や赤血球血管外漏出,フィブリン沈着を伴う leukocytoclastic vasculitis の像がみられた。細菌・真菌・抗酸菌感染も鑑別にいれ,組織培養検査を行ったがすべて陰性であった。以上から持久性隆起性紅斑と診断,ジアフェニルスルホン(DDS)を投与したところ副作用が出現し,中止。ニコチン酸アミドを内服したところ,皮疹は 1 ヶ月で著明に改善した。今後,持久性隆起性紅斑の治療において,DDS が無効である例や副作用が問題となる症例ではニコチン酸アミドは有効な治療選択肢の一つと考えられる。 (皮膚の科学,18 : 237-240, 2019)</p>

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 18 (4), 237-240, 2019

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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