左鼻腔後方に発生したSeromucinous Hamartoma例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Seromucinous Hamartoma in the Left Posterior Nasal Cavity

抄録

<p>Seromucinous Hamartoma(SH)はこれまでWHO分類には記載されていなかったが,2017年頭頸部腫瘍WHO分類第4版で呼吸上皮病変として新たに制定された。鼻副鼻腔に生じる過誤腫としてRespiratory Epithelial Adenomatoid Hamartoma(REAH)はこれまでに多くの報告・検討があるが,SHは我々が渉猟し得た範囲では報告数は24例のみである。今回我々は左鼻腔後方より発生したSHを経験したので,文献的考察を加えて報告する。症例は40歳男性。左咽頭違和感と嚥下時痛を主訴に当科を受診した。鼻腔ファイバースコープにて左鼻内に上鼻道方向から後鼻孔へ,表面凹凸のある腫瘤を認め,診断・摘出目的に全身麻酔での摘出術を施行しSHと診断した。SHは3:2で男性に多く,年齢は14歳~85歳と幅広い。発生部位は鼻中隔後端や上咽頭など鼻腔後方が多い。組織学的には表層が多列線毛上皮に覆われ,粘膜下に粘漿液腺が増殖し,ポリープ様形態を呈している。免疫組織学的には,増殖腺管を形成している単相立方上皮は基底細胞が欠落し,腺管周囲には筋上皮細胞も存在しないことが示された。今後,鼻腔後方に発生する腫瘍としてSHの存在を念頭に置く必要がある。</p>

収録刊行物

参考文献 (13)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ