伝導障害が左室収縮不全より先行した劇症型心筋炎の1例

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  • A case of fulminant myocarditis in which conduction disturbance preceded left ventricular systolic dysfunction

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抄録

<p></p><p> 症例は44歳男性.発症1週間前に急性腸炎に罹患.2日前に胸部不快感を自覚し近医受診.当院受診時,心電図にてⅡ,Ⅲ,aVFおよび左側胸部誘導の広範囲なST低下,aVR誘導のST上昇を認めた.心エコー図では左室駆出率(Ejection Fraction;EF)60%で,左室壁運動は正常であった.急性冠症候群の疑いにて冠動脈造影を施行するも正常冠動脈の所見.入院2日目,左室収縮能は保たれていたが,2:1房室ブロックを呈し,その後完全房室ブロックへ移行し,体外式ペーシングを挿入した.翌3日目に左室収縮能が急激に悪化し,EF 20%まで低下し,右室壁運動低下や心筋浮腫・心膜液貯留も著明となった.人工呼吸器管理・大動脈バルーンパンピング(IABP)による循環補助でも血行動態が保てず,補助人工心臓の適応と判断し,高次医療施設に転院.両心補助人工心臓を含む集学的治療にて救命し得た.急性心筋炎は,心筋の炎症を主体とする炎症性疾患と定義され,様々な重症度・病態を示す疾患であり,その中で劇症型心筋炎は,急激なポンプ失調から血行動態の破綻をきたすものを指す.本例は,伝導障害が先行し,劇症型心筋炎の病態を呈した.劇症型心筋炎の病態の進展を考える上で貴重な症例であり,ここに報告する.</p><p></p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 50 (11), 1222-1227, 2018-11-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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