右視床出血により左下肢の筋緊張亢進を呈した一例〜視覚確認による訓練で離臀動作の改善を目指して〜

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  • 鈴木 康太
    医療法人社団東京巨樹の会みどり野リハビリテーション病院

抄録

<p>【はじめに】今回、右視床出血により左大腿二頭筋、左下腿三頭筋の筋緊張亢進を認め、起立時の前方への重心移動を阻害している症例を担当した。基本動作である起立動作の介助量軽減を目的に介入し、改善が図れたため以下に報告する。症例にはヘルシンキ宣言に基づき方法、目的を説明し同意を得た。</p><p>【症例提示】70歳代、男性。右視床出血による左片麻痺。 入院時のBRSは左下肢Ⅲ、GMTは左下肢3、左大腿二頭筋、左下腿三頭筋の筋緊張亢進、左下肢ROMは左膝関節伸展-20°左足関節背屈-20°、表在、深部感覚は重度鈍麻。ADLは全て全介助、起立動作は前方への重心移動、左下肢への荷重が困難であった。病前ADLは全て自立。</p><p>【経過】本症例において離臀動作の阻害因子が左大腿二頭筋と左下腿三頭筋の緊張であると考え、視覚確認による左下肢への荷重訓練、起立訓練を中心に介入した。その結果、左大腿二頭筋、左下腿三頭筋の筋緊張が軽減された。左下肢ROM膝関節伸展-10°、足関節背屈0°まで改善。さらに起立動作は骨盤と下腿の前傾運動が改善し前方への体重移動が可能となり、修正自立レベルへ介助量の軽減を図れた。</p><p>【考察】本症例は重度の感覚障害の影響により左下肢への荷重訓練が困難であった。大沼らは深部感覚障害を有する患者への理学療法では、患者自身の意識下で治療を行うことが問題改善の糸口となると報告している。本症例では視覚確認にて意識的に左下肢に荷重訓練、起立訓練を反復した。その結果、左大腿二頭筋、左下腿三頭筋に対して荷重が加わることで、自重での相反抑制、自己抑制が働き、筋緊張が軽減したと考えられる。また筋緊張が軽減したことで離臀動作時の骨盤および左下腿の前傾運動が可能となり前方への重心移動が可能となったことが、起立動作の介助量軽減に繋がったと考えられる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390002184860652928
  • NII論文ID
    130007779586
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_p-018
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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