両下腿切断患者に対して義足歩行の獲得を目標とした急性期の評価と理学療法

DOI
  • 川嶋 実里
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 桂田 功一
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 樋口 謙次
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 石橋 香里
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 佐々木 健人
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 平野 健大
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 鈴木 壽彦
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 山田 健治
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 木下 一雄
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 新見 昌央
    東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座

抄録

<p>【はじめに】透析患者で両下腿義足を同時に作製し歩行獲得に至った報告は少ない.回復期で両下腿義足を作製する方針とした症例を経験した.その経緯に至った急性期の評価と治療について報告する.</p><p>【症例紹介】症例は糖尿病性壊疽により両下腿切断術を施行した60代の男性である.X-70日より右足趾に黒色変化と疼痛を認め,X-34日に当院に入院しX日に右下腿切断術を施行した.X+8日にPT開始となり,創治癒が遷延しX+70日に植皮を施行した.左足趾に黒色変化と疼痛が生じ始めた.X+121日に転院し,X+127日に炎症値が上昇し再入院となった.X+129日に左下腿切断術を施行しX+139日にPT開始となり,X+171日に転院となった.既往に慢性腎不全(血液透析),2型糖尿病,高血圧,脂質異常症がある.</p><p>【説明と同意】症例には公表の有無,個人情報の取り扱いについて説明し同意を得た.</p><p>【経過】X+8日では右創部痛が強く,股関節伸展可動域右5°左5°,握力右18kg左16kg,MMT両上肢4-5体幹3下肢右3左3-4,基本動作は自立していた.植皮後に疼痛軽減と創治癒が図れたため積極的な理学療法が展開でき,断端訓練や歩行を意識した膝立ち訓練を開始した.右断端の周径は内側裂隙から15cm下で33cmであった.X+170日では両創部痛は消失し,股関節伸展可動域右20 °左20°,握力右20kg左18kg,MMT両下肢4-5,断端長右16.5cm左17.5cm,周径は内側裂隙から15cm下で右26cm左27cm,断端管理は自立していた.</p><p>【考察】報告が少なく目標設定に難渋したが,膝立ち位がとれ理学療法により筋力が改善した,腎障害以外に糖尿病の合併症がない,意欲があり断端管理ができる,金銭面の心配がなく家族が協力的である,透析前後の断端の周径変化が少ないことから義足作製の適応があると主治医とリハビリ科医師と方針を定め,歩行獲得に向けた治療が展開できた.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390283659837112064
  • NII論文ID
    130007779649
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_p-051
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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