理学療法学生における実習前後の認知症者イメージに関する研究―共通因子とイメージの変化について―

DOI
  • 藤井 由依
    沼田脳神経外科循環器科病院リハビリテーション科
  • 鈴木 学
    群馬パース大学保健科学部理学療法学科

抄録

<p>【目的】わが国の認知症患者は、急激な高齢化の進展に伴い増加していて、認知症患者に接するのにポジティブなイメージは重要になってくる。認知症イメージは看護学生では尊厳性が最も肯定的であり、作業療法学生では実習後では肯定的変化がみられたと報告されている。しかし理学療法学生では実習イメージや実習前後の変化の報告はない。本研究では理学療法学生の実習前後の認知症イメージの共通因子および実習との関連について検討し、今後の理学療法学生の学習の際の一助となることを目的とした。</p><p>【方法】A大学平成27年度入学の理学療法学科4年生の52 名臨床実習前、Ⅰ期後、Ⅱ期後の認知症のイメージについて中野らのSD法を変法した5段階尺度のアンケート調査をした。統計処理は認知症イメージの因子分析(最尤法)による共通因子の抽出およびフリードマンの符号付順位和検定による実習前後の差異を検討した。統計ソフトはSPSS statistics23を用い、有意確率を5%未満とした。</p><p>【倫理的配慮】アンケートの記入は任意とし、研究目的の趣旨、プライバシーの保護、参加拒否の自由及び中止、利益相反の有無、分析結果の開示などについて文書にて同意を得た。</p><p>【結果】認知症イメージ共通因子とその累積寄与率は、実習前が6つで69.5%、Ⅱ期後は5つで68.5%であり、Ⅰ期後は因子抽出できなかった。そして認知症イメージは3群間で有意差がみられた(p<0.01)。</p><p>【考察】共通因子は実習前が「前向き」「性急」「包容力」「正確」「気さく」「判断力」、Ⅱ期の実習後が「包容力」「前向き」「知的」「性急」「気さく」が想定された。また実習前後でイメージ得点の増加は実習で認知症の人と接する機会が増えたことがプラスに作用したと考える。</p><p>【まとめ】理学療法学生の認知症者イメージについて肯定的な共通因子が確認でき、実習を経験することにより変化したことが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390846609790664832
  • NII論文ID
    130007779672
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_p-045
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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