ストレッチングを用いた呼吸介助方法の技術向上効果の検討

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抄録

<p>【目的】呼吸介助法は排痰や呼吸困難感の軽減の手技として用いられる。呼吸介助法では手掌面を全面接触させることや圧の調整が重要であり、接触面や圧を調節するためには練習を要することが多い。この接触面を調節しているのは手の外在筋と内在筋である。そこで本研究では、呼吸介助法の指導として通常の技術指導を行った場合と手の内在筋へのストレッチングを追加した場合で効果の違いが出現するかどうかを検討した。</p><p>【方法】被検者は男性3名、女性4名とした。方法は1日目に①検者に呼吸介助法を1分間指導、②背臥位にて被検者の胸郭拡張差を剣状突起部で測定(最大吸気と呼気を各3回ずつ)、③検者が被検者に呼吸介助法を1分間実施、 ④背臥位にて被検者の胸郭拡張差を剣状突起部で3回測定した。2日目は3週間あけて実施した。その際、ストレッチングは同一の1名が実施し、手内在筋に対し20秒(示指〜小指の左右4本)実施した。測定も同一の1名とした。 呼吸介助法は背臥位にて下部胸郭に実施し、接触部位、接触面、圧迫の強さ、方向性を呼吸療法認定士により1 分間指導した。統計はWilcoxonの符号付順位和検定にて実施した。</p><p>【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に則り、各個人に対し同意を得た。</p><p>【結果】胸郭拡張差は1回目の呼吸介助前で5.3±2.4cm、呼吸介助後で5.2±2.3cmであり、有意差はみられなかった。2回目(ストレッチ追加)の呼吸介助前で4.8± 1.6cm、呼吸介助後で4.4±1.6cmであり、有意差はみられなかった。</p><p>【考察】先行研究では機器のシートに着座した状態で肩の屈曲・伸展反復運動にて下部胸郭の周径が改善した報告や胸郭可動域運動による胸郭拡張差の改善についての報告はみられるが、今回の研究では呼吸介助法前後では胸郭拡張差に差はみられず、検者の手の内在筋にストレッチを行った場合でも差はみられなかった。呼吸介助法自体は胸郭の可動域を改善しないこと、実施後には効果は持続しないことが考えられた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390565134814216320
  • NII論文ID
    130007779683
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_p-068
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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