術後膀胱カテーテル抜去に時間を要した症例ー排尿障害の改善に着目してー

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  • 植松 里菜
    医療法人横浜平成会平成横浜病院リハビリテーション科

抄録

<p>【はじめに】急性期では手術施行に伴い,膀胱カテーテル(以下,カテーテル)を留置することは少なくない.しかしカテーテルの長期留置は,尿路感染症の併発や自排尿感覚の低下を生じさせると言われている.本症例はカテーテル抜去に時間を要し,排尿障害が出現した.そこで,排尿障害改善に着目し介入を行なったため報告する.尚ヘルシンキ宣言に基づき説明し同意を得た.</p><p>【症例紹介】90歳代女性.X−8日に施設で歩行時転倒.左大腿骨転子部骨折を受傷しX日に骨接合術施行.X+2 日にリハビリ目的で回復期リハビリテーション病棟へ転棟.受傷前の生活はショートステイを利用し車椅子にて生活しており,移乗動作は監視レベル,トイレ動作は下衣操作軽介助レベルであった.</p><p>【経過・治療内容】X+14日まで左下肢完全免荷の指示があり,安静時,動作時共に術創部の疼痛がNRS10と強く,トイレ誘導が困難であった.それによりカテーテル抜去が行えなかったため,早期抜去に向けX+15よりトイレ動作訓練を開始した.X+22日に介助量軽減に伴いカテーテル抜去を実施した.しかし,排尿障害として切迫性障害,機能性障害,尿排出障害が生じ,尿意が曖昧となり失禁がみられたため,各障害へ介入を行った.切迫性障害に対し骨盤底筋訓練,機能性障害に対し起立訓練・荷重訓練・足踏み訓練,尿排出障害に対し腹圧のかかりやすい排泄姿勢を指導.排尿感覚や尿意曖昧さに対し,定時でのトイレ誘導や排尿自覚刺激療法を実施.その結果,日中の失禁回数が0回となった.</p><p>【考察】今回,各障害に合わせた排泄機能向上に向けた介入を行うと共に,行動療法を実施し,排尿感覚向上やトイレでの排泄を行えるよう支援したことが,排尿障害の改善,失禁回数の減少につながった.今後はカテーテル留置によるデメリットを他職種と共有し,早期抜去に努めると共に,夜間の失禁にも着目して介入していくことが必要である.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390846609790548864
  • NII論文ID
    130007779770
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_p-075
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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