アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎の臨床的検討

  • 井上 なつき
    東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科学講座
  • 浅香 大也
    東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科学講座 浅香耳鼻咽喉科クリニック
  • 横井 佑一郎
    東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科学講座
  • 青木 由香
    東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科学講座
  • 両角 尚子
    東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科学講座
  • 坂口 雄介
    東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科学講座
  • 久保田 俊輝
    東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科学講座
  • 穐山 直太郎
    東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科学講座
  • 吉川 衛
    東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • A Clinical Study of Allergic Fungal Rhinosinusitis
  • アレルギーセイ シンキンセイ ビ フクビクウエン ノ リンショウテキ ケントウ

この論文をさがす

抄録

<p> アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎 (allergic fungal rhinosinusitis; AFRS) は, 吸入した真菌が副鼻腔に定着したのちに非浸潤性に増殖し, 真菌に対するⅠ型・Ⅲ型アレルギー反応や T 細胞応答などにより病態が形成されると考えられている. 今回われわれは, 当院で内視鏡下鼻内副鼻腔手術 (endoscopic sinus surgery; ESS) を施行した834例のうち, AFRS と確定診断した9例に対し, 後方視的観察研究を行った.</p><p></p><p> AFRS の原因真菌の特定には培養検査が必要だが, 過去の報告では真菌が検出されない症例が多いと言われている. しかし当院では, 好酸球性ムチンをポテトデキストロース寒天 (potato dextrose agar; PDA) 培地やサブローデキストロース寒天 (sabouraud dextrose agar; SDA) 斜面培地で培養することで, 9例のうち6例から Schizophyllum commune (S. commune: スエヒロタケ) を検出した.</p><p></p><p> AFRS に対する治療として, ESS による好酸球性ムチンの除去と, 副鼻腔の単洞化を行い, 術後にステロイドの経口投与と, 鼻洗浄および鼻噴霧用ステロイド (intranasal corticosteroid; INCS) による局所の病態の制御を行った. 9例のうち2例で再発を認めたが, 短期間のステロイドの経口投与で改善したため, 再手術は行わなかった.</p><p></p><p> AFRS の予後評価については, 過去の報告と同様, 総 IgE 値や原因真菌の特異的 IgE 値の変動が術後経過に一致した. これまで, S. commune に対する特異的 IgE 値の推移を検討した報告はないが, 病態の評価に有用と考えた. また今回の経験から, S. commune による AFRS は潜在的に数多く存在する可能性が示唆された.</p>

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (22)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ