ザンビアの地方病院における分娩後異常出血の頻度、リスクファクター、治療、転帰

DOI
  • 三好 康広
    ジンバミッション病院(ザンビア共和国南部州ジンバ地区) 国立病院機構長崎医療センター

書誌事項

タイトル別名
  • Incidence, risk factors, treatment and outcomes of postpartum hemorrhage at a district hospital in Zambia

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抄録

<p>目的</p><p>  分娩後異常出血(PPH)は世界中で最も多い母体死亡の原因である。PPHによる母体死亡の99%は途上国で起こっている。この研究の目的はザンビアの地方病院におけるPPHの現状を分析することである。</p><p>方法</p><p>  2017年にジンバミッション病院(98,000の医療圏人口を有する二次医療機関)で分娩した全ての患者を対象とした。PPH発症率、リスク因子、治療、転帰について分析した。PPHの定義は分娩後24時間以内の出血で、経膣分娩500ml、帝王切開1,000ml以上の出血とした。データは入院台帳、分娩台帳、手術台帳より入手した。リスク因子は多変量ロジスティック回帰分析で明らかにした。</p><p>結果</p><p>  1,704人の分娩に対し、PPHを発症した症例は107例(6.3%)であった。 PPHのリスクファクターは経膣分娩では、補助経膣分娩(調整オッズ比14.40、95%信頼区間6.72-30.80)、巨大児(調整オッズ5.19、95パーセント信頼区間1.69-15.90)、多胎妊娠(調整オッズ比4.04、95%信頼区間1.37-11.90)であった。帝王切開では、前置胎盤(調整オッズ比13.20、95%信頼区間2.37-73.10)、3経産以上(調整オッズ比9.85、95%信頼区間3.50-27.70)であった。十分な量のオキシトシンが全患者に投与された。19例(17.8%)で高度な治療を要した。7例(6.5%)でバルーンタンポナーデを施行し、2例(1.9%)でB-Lynch縫合術を施行し、止血に成功した。子宮全摘術は10例(9.3%)に施行したが、2例(1.9%)は術後死亡した。</p><p>結論 </p><p>  PPH発症率は世界水準より僅かに高かった。経膣分娩と帝王切開で異なるリスク因子が示された。PPH患者のほとんどが積極的医療介入の後、救命し得た。</p>

収録刊行物

  • 国際保健医療

    国際保健医療 34 (4), 209-216, 2019-12-20

    日本国際保健医療学会

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