精神的ストレス下における冷飲食を契機に下痢が悪化した過敏性腸症候群に胃苓湯を中心とした漢方治療が有効であった女性の5症例

  • 木村 容子
    東京女子医科大学東洋医学研究所
  • 佐藤 弘
    東京女子医科大学東洋医学研究所 新潟医療福祉大学医療経営学部医療情報管理学科
  • 伊藤 隆
    東京女子医科大学東洋医学研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Five Female Cases of Irritable Bowel Syndrome with Diarrhea after Taking Cold Food and Drink Under Stressful Conditions Successfully Treated with Ireito-Based Kampo Prescriptions
  • 臨床報告 精神的ストレス下における冷飲食を契機に下痢が悪化した過敏性腸症候群に胃苓湯を中心とした漢方治療が有効であった女性の5症例
  • リンショウ ホウコク セイシンテキ ストレス カ ニ オケル レイインショク オ ケイキ ニ ゲリ ガ アッカ シタ カビンセイ チョウ ショウコウグン ニ イレイトウ オ チュウシン ト シタ カンポウ チリョウ ガ ユウコウ デ アッタ ジョセイ ノ 5 ショウレイ

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抄録

<p>過敏性腸症候群(IBS)に胃苓湯を中心とした処方が有効であった5症例を経験した。陰証かつ虚証の女性(33—54歳)で温補の処方を使用して症状は落ちついていたが,精神的なストレスがあるところに,3月から6月の暑さにより冷飲食が増えて,便通状態が悪化した。悪化時には口渇や下痢などの水滞による症状,心窩部や下腹部の腹満感,不安感,憂うつ感など気うつによる症状がみられ,腹診では心下痞鞕が全例に認められた。水滞と気うつによる病態と考え,五苓散と気の巡りを改善する厚朴や陳皮を含む平胃散の合方である胃苓湯を投与した。処方内訳は胃苓湯単独が1例,胃苓湯と桂枝加芍薬湯や建中湯類(黄耆建中湯,小建中湯)の併用が3例,桂枝茯苓丸との併用が1例であった。精神的なストレス負荷があり,冷飲食を契機に下痢が悪化するIBS 患者で,心下痞鞕を認め,腹痛を伴う場合は芍薬を含む胃苓湯が有効であると考えられた。</p>

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参考文献 (3)*注記

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