胎児心不全：不整脈の重症度をどう評価する

• 前野 泰樹

  雪の聖母会聖マリア病院新生児科

書誌事項

タイトル別名

• Assessment of the Severity of Heart Failure in Fetuses with Fetal Arrhythmias

抄録

胎児不整脈では，心不全が進行すると胎児水腫となり胎内死亡をきたすため，心不全の重症度評価は重要な課題となるが，実際には正確な評価は難しい．通常，胎児心エコー検査で胎児心不全を評価するCVP (cardiovascular profiling）スコアなどで使用されるドプラ血流波形は，不整脈により変化するため評価に使用できない項目が多い．そこで，心拡大の程度や房室弁閉鎖不全の出現，特に僧帽弁閉鎖不全に着目したり，血流波形のVTI (velocity-time integral）による心拍出量の算出で心不全の兆候を検出する．胎児の一般的な全身状態の評価であるBPS (biophysical profiling score）も参考にできる．心拍数との関連では，頻脈性不整脈では，上室頻拍では心拍220回/分以上，心室頻拍では200回/分以上，胎児徐脈性不整脈では心拍55回/分未満が心不全進行の目安となる．しかし，不整脈症例では，頻脈時の頻拍源性心筋症の併発や，徐脈時には心奇形や抗SS-A抗体による心筋炎/心筋症の合併によって心機能が低下してくることが知られており，心拍数のみでは心不全進行の予測は不十分である．複数の指標を合わせて，継時的な経過観察により症例ごとの計測値の変化を評価しながら，管理方法を判断していくことが重要である．

収録刊行物

• Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

  Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 35 (4), 221-227, 2019-11-01

  特定非営利活動法人 日本小児循環器学会

キーワード

• fetal arrhythmias
• fetal heart failure
• fetal echocardiography
• fetal tachycardia
• fetal bradycardia

詳細情報

• CRID: 1390846609805146624
• NII論文ID: 130007797783
• DOI: 10.9794/jspccs.35.221
• ISSN: 21872988
• ISSN: 09111794
• Web Site: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspccs/35/4/35_2019-0014/_pdf
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2020217045
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • Crossref
  • CiNii Articles
  • KAKEN
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可